[携帯モード] [URL送信]

long(ファンタジー)
28. ・   



「ユーリちゃん!久しぶり〜!ちっとも顔を見せに来てくれませんのね」

「ア、 アンネ様。苦しいです・・・・」

その声を聞いて佳斗は驚き、思わずレオンを見ると苦笑いを浮かべている。

「ケイト、あの声は僕達の叔母上の声だよ」

「ユーリも私の戴冠式などでしばらく忙しい思いをさせてしまったからな。叔母上も待ち切れなかったのだろう」

声に笑いを含ませ2人が佳斗に答えていると華やかな雰囲気を纏った女性がベランダへとやってきたのをみて佳斗は慌てて立ち上がり、その女性を迎えた。

「おはよう、レオン、マリオン」

「おはようございます、叔母上。今日はご機嫌がいいようですね」

「ええ、久しぶりにユーリちゃんに会えましたから」

「おはようございます。叔母上、ユーリの顔が赤くなってます」

マリオンが笑いを堪えながらアンネマリーが小脇に抱えるようにしていたユーリの事を指摘すると彼女はたいして気にした様子も無くその手を離した。

「あら、ごめんなさいね、ユーリちゃん」

「いえ、大丈夫です」

ようやくアンネマリーの抱擁という名の束縛から逃れたユーリは軽く咳き込みながらも笑顔は崩さない。

そんな彼を佳斗は“ユーリってやっぱり凄いよね”と感心しながら見つめていると途端に強い視線を感じた。

「レオン」

アンネマリーが問いかけるようにレオンの名を呼ぶと彼は佳斗の側に寄り添うように立ち、その背中にそっと手を添える。

「ケイト。こちらは叔母のアンネマリー様だ」

「初めまして。竜崎佳斗です」

レオンに紹介された佳斗は片手を胸に置き、頭を下げ挨拶をする。

「叔母上。我が花嫁のケイトです」

「アンネマリー・カシュバートと申します」

ドレスの裾をもち優雅にお辞儀をする彼女に佳斗は一瞬、見惚れる。

「花嫁様のことは主人からお聞きしました。何かお困りの事はございませんか?」

にっこりと微笑みを浮かべ聞いてくる彼女にまた佳斗は見惚れ、返事が遅れた。

「・・・・・あっ。お気遣いありがとうございます。皆さん、良くしてくれていますので大丈夫です」

「ケイト、どうした?」

そんな佳斗の様子にレオンが気づき声をかけてくる。





[*前へ][次へ#]

29/48ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!