long(ファンタジー)
27. ・
「親しい者は“レオン”と呼ぶが、出来ればケイトには皆と違うように呼んでほしいし敬語も止めて欲しい」
「え?でも・・・・」
「ケイト、兄様は普段、こんな我儘は言わないんだ」
「我儘・・・・お前に言われたくないが」
「僕は我儘じゃないでしょ」
レオンハルトの要望に口添えをしようとマリオンが言った言葉に当のレオンハルトが反応し、また雰囲気がおかしくなる前にと佳斗は慌てて聞く。
「では“レオ様”ではいかがですか?」
「“様”もいらないが」
「それは・・・・無理です」
「そうか・・・・仕方ないな」
やっと頷いたレオンに佳斗はホッとし、なんだかんだと言っている間に食べ終わった食器を下げるユーリをみてフと思いだしたことを聞いてみた。
「そういえば、昨日、国王様はユーリにアロイス殿の機嫌をとるように言っておられましたがどういうことなのですか?」
「あぁ、ユーリはアロイスと叔母上の大のお気に入りだからな。アロイスの機嫌がこじれた時は叔母上かユーリに任せるに限るんだ。それよりケイト」
「申し訳ありません。いきなり名前呼びは・・・・」
“言われる前に”とばかりに佳斗は先に謝り、そんな彼を見てレオンは驚きマリオンは笑い声をもらす。
「昨日からこんな会話が続いてるね〜」
佳斗がマリオンの言葉に答えようとする前にレオンが問いかける。
「そうなのか?」
「はい」
「別に咎めるつもりはなかったのだが・・・・」
「承知しています。僕もできるだけ早くお呼びできるように頑張ります」
「ああ、楽しみにしている」
柔らかい笑みを向けられ佳斗も笑みをかえす。そんな2人をこちらも笑みを浮かべてマリオンが見ていた時、扉がノックされる音がした。
「来たか」
レオンはそう呟くとユーリに目配せをし、そのユーリはお辞儀をして扉にむかった。
「ケイト、会わせたい人達がいる」
「それは昨日、マリオンから聞いた方達ですか?」
「話したのか?」
「少しね。3人が来るという事は話したよ」
マリオンの言葉が終わると同時に扉付近から賑やかな声が聞こえてきた。
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