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long(ファンタジー)
25. ・   


その呟きは隣にいたマリオンには聞こえたようで途端に笑い声があがる。一応は気を遣ったようで抑えた声ではあったが。

「マリオン、どうした?」

マリオンは慌てて自分を制しようとする佳斗をかわしながらレオンハルトの問いに答える。

「ううん、なんでもない。ケイトって面白いよね〜」

「そうなのか?」

「いえ、面白いなど言われた事はありません」

今度は佳斗がレオンハルトに答えていると扉がノックされユーリの声が聞こえた。

「陛下、お食事をお持ちいたしました」

「入ってくれ」

レオンハルトの返事を聞き、ユーリがワゴンを押しながら入ってくる。

「ユーリ、今朝は天気もいいしバルコニーで食べる」

「承知いたしました」

その言葉にユーリは素早く反応し、あっという間に準備を整える。その手際の良さに佳斗は感心した。

「さすがだね」

「ありがとうございます。ですがこれくらいは・・・・」

「ユーリ、せっかくケイトが褒めているんだ。素直に受け取ったらどうだ?」

声に笑いを含ませながらレオンハルトがユーリの言葉を遮り、ケイトにも微笑みかける。

「そうですね、そうしてもらえれば僕も嬉しいです」

レオンハルトの笑みに佳斗も微笑みを返しながら言うと彼はスッと寄ってきてその背中に手を添え、佳斗をバルコニーに置かれたテーブルへと誘導する。

その手の温もりを嬉しく感じる自分に戸惑いながら佳斗は席に着いた。



朝食は地球でいうところのクロワッサンのようなものでサラダにスクランブルエッグとスープ、さらにはフルーツと香茶が用意されていた。

「ケイト、口に合うか?」

何かと気遣う様子をみせてくれるレオンハルトに佳斗は笑みを返す。

「はい、とても美味しいです」

「昨日の夕食の時に聞いたんだけど、こちらの食べ物はケイトがいた世界とかなり似ているみたい」

マリオンがそう言うとレオンハルトはホッとした様子をみせる。

「ならば良かった。食べ物が口に合わないと辛いからな。ケイトはどのような物が好みなんだ?」

「特に嫌いなものは無いです」

「そうか。何処かの次男とは大違いだな」

笑いながら自分のことを言うレオンハルトの方をチラッと見て、マリオンはパンを千切りながら反論する。

「僕もだいぶ好き嫌いは無くなったけど?」

「ならばいいが」

2人の仲の良さを垣間見たような気がして佳斗は温かい気持ちになり、同時に自分の事を心配しているであろう兄達を思った。





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