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long(ファンタジー)
24. ・   


「顔を洗ってくるからもう少し、待っててくれる?」

マリオンが頷くのを確認し、佳斗が洗面に向かうとユーリが器に入ったクリームのような物を持ってくる。

「ケイト様、こちらが洗顔用でこちらが歯磨き用です」

「ありがとう」

器を受け取り佳斗が洗面所へ消えるとマリオンは聞いた。

「ユーリ、さっきのは?」

「ケイト様は魔力が無いので石鹸球も温風球もお使いになれないのです」

「あっ・・・・・」

ユーリの言葉にマリオンはハッとした顔をみせる。

「私も昨夜、ケイト様に浴室の石鹸について聞かれるまで気がつきませんでした。で、ケイト様と相談して必要分を器に出すことにしたんです」

「僕達にとっては普通の事でもケイトにとっては普通じゃないってことか・・・・」

「はい」

「判った。兄様にも言っておかないとね」

「お願いいたします。私はジョエルさんに伝えておきます」

「2人とも、深刻な顔をしてどうしたの?」

佳斗が部屋に戻ると2人が互いに“うんうん”と頷くようにしながら話している。その姿を不思議に思い声をかけるとマリオンが笑顔で答えた。

「何でもないよ。用意ができたなら兄様の所に行こうか。ユーリ、よろしく」

マリオンは佳斗を促しながらユーリにも声をかける。

「承知いたしました」

頭を下げる彼に佳斗も「悪いけどお願いね」と声をかけレオンハルトの元へと向かった。



「おはよう、ケイト。よく眠れたか?」

2人が王の間へ入ると書類を机に置き、椅子から立ち上がりながらレオンハルトが声をかけてくるのに頭を下げながら佳斗は答えた。

「はい」

「そうか。なら良いが何かあればすぐに言うように」

「はい、お気遣いありがとうございます。せっかく朝食をご一緒にと言っていただいたのに遅くなり申し訳ありません」

「なに、構わない。私にはケイトが疲れている方が問題だ」

優しい眼差しで見つめられながらそんな事を言われ、佳斗は思わず小声で言ってしまった。

「国王様ってタラシですよね・・・・・」




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あきゅろす。
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