long(ファンタジー)
23.朝食の時間
「おはようございます」
カーテンをひかれ、朝の光が部屋の中を照らす。
佳斗はベッドの中で大きく伸びをすると起き上がった。
「おはよう、ユーリ」
「よくお休みになられましたか?」
「うん。夢も見なかったよ」
「やはりお疲れになっていたのですね・・・・お着替えをなさいますか?」
「うん。あの・・・国王様は?」
「陛下はすでに執務をされています」
着替えを用意しながらユーリが答えると佳斗は慌ててベッドから出る。
「もう、そんな時間だったんだ!朝食を一緒にって言っていただいたのに・・・・」
焦ったように着替えをはじめる佳斗にユーリは微笑んだ。
「大丈夫です。陛下は朝食の前に一通り、書類に目を通されるのが日課ですから」
「本当?良かった。約束を破っちゃったと思った」
「陛下はケイト様がお疲れのようなら無理に起こすなと言われたのですが・・・・」
手早く準備を整える佳斗の胸元のリボンを結びながらユーリは言う。
「僕は大丈夫だよ。むこうでは学校に行かないといけないから結構、早く起きていたんだ。それに出来るだけこっちの習慣に慣れないといけないしね」
佳斗のその言葉にユーリは感激したように顔を綻ばせる。
「ケイト様・・・・ありがとうございます」
「え?急にどうしたの?」
「ケイト様がこの世界を受け入れて下さったのが嬉しいのです」
ユーリの言葉に佳斗は苦笑いを浮かべた。
「う〜ん・・・・あのさ・・・・正直、まだ完全に受け入れられたわけじゃないんだ。まだ聞きたいことも沢山あるし・・・・
けど戻れないのならいつまでもウジウジしていても仕方ないしね。それに皆、いい人ばかりだから困らせるような事はしたくないんだ。
でも、向こうでの習慣もできるならあまり変えたくないから僕の方が皆を困らせてしまうかもね」
その言葉に再びユーリが感激していると控えめに扉がノックされた。
「ユーリ、ケイトは起きてる?」
小さく聞こえてきたマリオンの声にユーリは慌てて返事を返す。
「はい、着替えは終えられました」
「入ってもらっていいよ」
ユーリが頷き扉を開けるとマリオンが入ってくる。
「ケイト、おはよう。よく眠れた?」
「おはよう。うん、ベッドの寝心地がよくてグッスリ」
「良かった」
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