long(ファンタジー)
22. ・
再びジョエルに言われ、レオンハルトは僅かに顔に熱が集まるのを感じ、そんな彼をアロイスは珍しく表情を変え、微笑ましそうに見て言った。
「良いではありませんか。身体の色の変化は陛下が無事、花嫁を召喚出来た証しですし私としてはあの去る者追わずだった陛下が
誰かを心に留めることができると判り喜んでいるのです。
ですが、ケイト様に心を奪われるのも構いませんが4大国会談の手配を早急にしなければなりません」
「アロイス。お前、今日は何気に酷い事を言っている事に気づいているか?」
「でもレオン様、父上の言う事は当たってますから。ケイト様に王太子時代のことはばれない方がいいでしょうね〜」
「・・・・ジョエル、ユーリに要らぬことをケイトに言わないように言っておけよ」
「私のユーリはそんな莫迦な事はしません」
王太子時代の事を持ち出され、焦った顔をみせるレオンハルトにアロイスは本来の要件を思い出させるように言った。
「陛下、そんなことより4大国会談です」
「判っている。テテル、クレアトとシェスタンには今回はこちらに来てもらうよう要請を出す。会談の場所などセッティングはアロイスに一任する」
「承知いたしました」
「それとは別にリディアスには今晩中に知らせておく。できれば王ではなくあいつに来てもらいたいところだが・・・・」
「まず無理でしょう。王はともかくベイリー殿が黙っていないでしょうから」
アロイスはかの国の宰相の顔を思い出し僅かに左眉をあげ、そんな父親にチラリと視線を投げるとジョエルはユーリが淹れていった香茶を手に取る。
「あの人もなかなか尻尾を出しませんからね〜。そこら辺はうちの古狸達よりはいくらか賢い」
カップをソーサーに置きジョエルが言ったと同時に扉がノックされ、「誰だ?」との問いにかえってきた声は侍女長のものだった。
「陛下。お寛ぎのところ、申し訳ありません。アロイス宰相様はこちらでしょうか?」
「陛下、少し失礼します」
侍女長の問いかけにアロイスが話を聞きに行き、戻ってくるなり大きく溜息をついた。
「噂をすればなんとやらですね。ジュスティルが戻ってきたようです。謁見室に通すように言っておきました」
「そんなの、明日でも良いのに。ハァ〜、あいつ等は自分達の事しか考えない奴らだったな・・・・」
「仕方ありません。私も気が進みませんが参りましょう」
一気に不機嫌になったレオンハルトを宥め、共に部屋を出ようとしたアロイスは何かに気づいたように足を止めた。
「陛下、部屋から出る前に髪の色を戻しませんと」
「ん?あぁ、そうだな。戻したくないが・・・・」
「これも仕方ありませんね。ジョエル」
「はい。ではレオン様」
ジョエルがレオンハルトの前に立ち、肩に手を置くとすぐ呪文を唱える。すると一瞬、レオンハルトの身体が光に包まれ、その光がおさまったと同時に
現れた彼の姿は元の色に戻っていた。
「この状態を維持するのはレオン様が自分でやって下さいね」
「判っている。謁見の前にケイトに告げに行かなければ」
「では私はそのまま、ケイト様の側にいます」
「あぁ、頼む。何も無いとは思うが万が一もあるからな」
そして3人は佳斗の元へ向かった。
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