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long(ファンタジー)
21.王の間では・・・・


時は遡り、佳斗が王妃の間へ移ったあとの王の間では暫くの間、レオンハルトが名残惜しそうに扉を見つめていた。

「レオン様・・・・そんな未練たらしい顔をしないで下さい」

そんなレオンハルトに、ユーリが佳斗と共に退出したと同時に元の無表情に戻ったジョエルが言う。

「・・・・・未練たらしいってお前な」

「まぁ、たしかに美しい花嫁でしたから陛下のその顔も仕方ありませんが」

「アロイス・・・・」

「しかし、随分と慎重というか警戒心の強い方ですね。あちらでの生活はどのようなものだったのか気になります」

レオンハルトは色の変わった髪を弄りながらアロイスの言葉に頷く。

「いきなり異世界へ連れてこられたのに動揺を見せるどころか自分のおかれた状況を把握しようとする方を優先していたな」

「見かけのわりに度胸のすわった方ですね。ユーリみたいです」

「・・・声も心地良い声をしているし」

「ユーリの可愛らしい声には負けますが」

「・・・・・意思の強そうな瞳だった」

「ユーリのキラキラとした瞳も可愛らしいです」

「・・・・・・・ジョエル、お前のユーリに対する愛情は判っている」

「そうですか?私はまだまだ語れますが」

どこか諦めたような笑みを浮かべながら言ったレオンハルトの言葉にジョエルは無表情の口元を僅かにあげてまだ話そうとするのを
レオンハルトは手を挙げて制する。

「いや、いい。ケイトの世界では同性婚が認められていないと言っていたな」

「認めている国とそうでない国があるとも言われていましたね」

「でもケイト様はそんなに抵抗は無さそうなかんじでしたね」

「あぁ。その事に救われた気分だ」

「それよりレオン様、髪をいじるの止めてもらえませんか。そんな癖、なかったでしょ?」

ジョエルに言われレオンハルトはハッとしたように髪から手を離した。

「・・・・そんなに弄っていたか?」

「はい、それはもう嬉しそうに」

「無意識とは怖いな」





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