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long(ファンタジー)
17. ・   


内心、“え?舌打ちした?”と思いながら佳斗が語りかけると明らかにしぶしぶといった様子を漂わせながらも了承したようで
急に部屋中にレオンハルトの声が響く。

『これでいいか?』

「はい、結構です。ではケイト様、お願いします」

「お願いしますと言われてもどこからお話ししましょうか?」

『ケイトの家族はどんな方達だ?』

レオンハルトが助け船を出すように質問をしてきた。

「両親と兄2人の5人家族です。父は会社をいくつか経営していて母はその秘書をしている関係上、家で見かけることは少ないですね。
 でも、僕が小学校を卒業するまでは仕事をセーブしてくれて今でも愛情はたっぷり感じてます。
 上の兄は25歳で下の兄は23歳です」

『私と一緒か』

「はい。ジョエルさんも下の兄と年齢が近いとお聞きしました。それでマリオン達と親近感が湧くねっていう話になっていたんです」

『そうか。兄上達はどんな人達なんだ?』

「下の兄は悠斗という名前で、医者を目指して勉強中です。今は本当に小さな頃から大好きだった女性と婚約して毎日、嬉しそうにしています。
 上の兄は翠斗という名前で何と言うか・・・・僕に対して過保護ですね・・・・」

『過保護?』

「はい。少し長くなりますが・・・・」と前置きして佳斗は話し始めた。

現在、父親が経営しているグループ会社は元々、曽祖父が興した会社であること。

それを祖父がかなり強引なやり方で大きくしそのせいか、いろいろと狙われることがあった為、武道を習わされたり学校への
 送迎は当たり前であったこと。

そしてその送迎には運転手の他に必ず、長兄の翠斗が来ていたこと。

『長兄殿・・・スイト殿といったか?スイト殿には感謝しなければな。おかげでケイトが無傷で過ごせた』

「ですが・・・兄弟で僕が少し、年が離れているせいか何かにつけて構ってくるんです。悠兄・・・下の兄が誘拐されかけた事も
 あったらしいですし、あの構いぶりはそれも関係しているのかもしれません」

「その頃、兄に言われました。人を見抜く目を養えと。本人は長男ですからグループを継ぐのが当たり前と思っていて小さな頃から
 そういった訓練などもしたそうです。僕も訓練を少し受けたんですが、幸いというか初対面でその人物が自分や自分が信頼する人物に対し
 悪意をもっているかどうか直感で判るようなところがあることが判って、それがほぼ100%の確率で当たっていたんです。
 ただ、それがこちらでも通用するかどうか判断できなかったので失礼な態度をとってしまいましたが・・・・」

『今はどうだ?私達は合格か?』

レオンハルトの“合格”という言葉にニッコリと笑い、部屋内の3人を見ながら佳斗は返事をした。

「はい。最初にお会いしたのが皆さんで良かったです」

その言葉にレオンハルトがホッとしたように息を吐いた音がして部屋の中の3人も安心したような表情をみせた。





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