long(ファンタジー)
12. ・
「あぁ、こちらが元々の色なんだ」
佳斗がすぐに気付いたことが嬉しかったのかにこりと笑ったレオンハルトに佳斗は身惚れたがマリオンの声にハッと我に返った。
「兄様、何か問題でも起きましたか?」
「あぁ、煩い古狸どもが目通りを願ってきた」
「まさか、ケイトの事が知られてしまったのでしょうか」
「いや、それは無いだろう。どうせくだらない内容だ」
レオンハルトはさきほどの笑顔から一変してしかめっ面をした後、申し訳なさそうに佳斗に謝る。
「すまない。今日は休みを取っていたのだがどうしてもと言われてしまって。一緒に食事をしたかったがおそらく無理だと思う」
「僕なら大丈夫です。マリオンやユーリもいますし僕の事は気にせず・・」
「いつの間にマリオンやユーリを呼び捨てにするようになったんだ?」
少し低くなったレオンハルトの声に佳斗は“国王様の前でまずかったかな”と内心焦り、マリオンが佳斗を庇うように答えた。
「先ほどです。着替えを持ってきておしゃべりをしていたら年齢が近い事が判って僕から言い出したんです」
「そうか・・私はまだ何もケイトの事は知らないからな・・年は幾つなんだ?」
「17歳です」
「そうなのか?落ち着いて見えるからマリオンと同じくらいかと思っていた」
愛おしそうな瞳で見つめられ佳斗は思わず頬を染め、そんな彼をみつめレオンハルトは更に質問をした。
「ケイトのご家族は・・」
「その辺のくだりはさきほどケイトに聞きましたから兄様には後ほど・・」
「お前、私より先に聞いたのか?」
ムッとした表情を見せるレオンハルトにマリオンは何でもない事のように答える。
「話の流れでそうなったんです。それより兄様、謁見しなくていいのですか?」
「あ〜・・・・・・、行きたくないな・・・・」
心底、嫌そうな顔を見せるレオンハルトにジョエルが近づくと何かを渡す。
「レオン様がそう言うだろうと思って用意しておきました」
レオンハルトの掌に2つ、コロンと転がる物は指輪だった。
「ジョエル、気がきくな」
そう言いながらレオンハルトは指輪に手をかざし一瞬、目を閉じてから両方の指輪にキスをし、そのまま佳斗に向かって指輪を差し出した。
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