long(ファンタジー)
10. ・
ユーリに着替えを手渡し、次いで佳斗に向かって言った。
「サイズは大体の大きさですがお見かけしたところ、僕とあまり変わらないように思ったので多分、大丈夫だと思います。
気に入らなければすぐに取り返させますので言って下さいね」
「ありがとうございます」
そう礼を言うと佳斗はマリオンに言った。
「あの、マリオン様。僕の事は佳斗と呼んで下さい。僕の方が年下なんですから」
「そんなとんでもない」
顔の前で手を振り、そう答える彼に佳斗は思わず噴きだした。そんな佳斗を見てマリオンは不思議そうな顔をし、ユーリは苦笑いを向ける。
「すみません。ユーリの時と似てるなっと思って」
「?」
佳斗の言葉を聞き、マリオンはますます不思議そうな顔をしてユーリを見る。ユーリも笑いながらマリオンに答えた。
「私もケイト様に“座って話をしよう”と言っていただいた時に似たような返事を致しまして・・」
「あぁ、それで。でもケイト殿は兄様の花嫁。つまり僕の義兄になっていただく方ですから呼び捨てなど出来ません」
「花嫁の件は置いておいたとして・・・・僕がお願いしてもですか?」
「え・・」
コテンと首をかしげるマリオンと佳斗の悪戯っぽい顔をみたユーリはまたしても苦笑いを浮かべる。
「マリオン様、ケイト様は引いてはくださらないと思います」
「そうなの?」
「はい。私も“お願い”をされてしまいお断りをすることができませんでした」
「交換条件付きでしたけど」
そう言ってきた佳斗の顔はやはり悪戯っぽい顔のままだ。
「ユーリは“一緒に座らせるのならユーリと呼んで下さい”っていうものでしたが、マリオン様はどんな交換条件がいいでしょうか?」
「交換条件・・・では僕のこともマリオンと呼んでくれるのであれば僕もケイトと呼ぶ というのは?」
今度はマリオンが悪戯っぽい表情を見せながら言うと佳斗はユーリと顔を見合わせ、笑いながら頷いた。
「では交渉成立ですね」
「マリオンさm・・マリオン、あと僕にはユーリに話すような感じで話して下さると気が楽になるんですが」
「ならばケイトも。そちらの方が僕も気が楽ですから」
その会話を聞いていたユーリがクスクスと笑うと2人はそちらを見る。
「いえ、やはり似たような会話を交わしたなと思いまして」
笑ったままユーリが答えると佳斗も笑いだす。
「そうなの?」
「はい。ただ私の場合は“この口調はくせみたいなもの”と言われてしまいましたが」
「そうか〜」
自分の問いかけに答えるユーリにマリオンは笑いかけ今度は佳斗に言った。
「でも僕には通用しないからね」
また悪戯っぽい顔をしながらのマリオンの言葉に佳斗は頷く。
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