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long(ファンタジー)
9.  ・   


佳斗は最初は情報収集のために聞き始めた事だった筈がいつの間にかその事を忘れ、話を楽しんでいる自分に気づき思わず苦笑いを
こぼしたが、自分が尊敬する王のことを少しでも知ってもらいたい、と熱弁をふるうユーリはそんな佳斗の表情には気がつかなかった。

「ユーリってほんと、国王様のことを尊敬してるんですね」

佳斗が饒舌な彼の様子に今度はクスクスと笑いながら言うとたちまち真っ赤になってしまい

「申し訳ありません。ケイト様に陛下の事を知って欲しくてつい・・」

と下を向いてしまった。

「いいんです。こういう事は無意識から出る言葉の方が正しい事が多いですから。今の話で国王様の人となりが判りましたし。
 そういえば国王様はお幾つなんですか?」

佳斗の言葉に嬉しそうに顔をあげ、ユーリは答える。

「陛下は25歳になられました」

「じゃあ翠兄と同じ歳だ」

「すいにい?」

「あっ、僕の兄で翠斗っていうんです。僕、男ばかりの3人兄弟の末っ子なんですけど、上の兄が国王様と同じ歳で」

「スイト様とおっしゃるんですね。もう1人のお兄様のお名前はなんといわれるんですか?」

「悠斗って名前で23歳です」

「ではジョエルさんより1つ下ですね。何だか年齢の近い人ばかりで親近感が湧きます」

「そうですね」

2人で和やかに会話をしていると小さくトントントンと扉がノックされた。

「ユーリ、僕だよ」

遠慮がちにかけてくる声にユーリが慌てて立ち上がり佳斗に問いかけた。

「マリオン様です。中に入っていただいてもよろしいでしょうか?」

「はい。マリオン様とも話をしてみたかったから是非」

佳斗の了承を受け、ユーリが扉を開けると「ケイト殿は休まれている?」と聞く声がきこえ、続いて「いえ。どうぞお入りください」
という声が聞こえた。

「ケイト殿、休まなくて大丈夫ですか?」

部屋に入るなり、立ちあがって自分を迎える佳斗を見つけマリオンは心配そうに声をかけた。

「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。ユーリがいい話相手になってくれていました」

「そうですか。それは良かった」

佳斗はふんわりと可愛らしい笑顔をみせるマリオンに椅子をすすめ、自分も座る。そこへユーリがお茶を出しながら
マリオンに尋ねた。

「マリオン様、手に持っていらっしゃるのは?」

「あぁ、これ?ケイト殿の部屋着と夜着だよ。落ち着いて考えたら休めって言っておいて着替えを準備していなかったと思って急いで
 準備させたんだ」





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