ガールシリーズ
10
「―――っ!」
目を覚ました途端、身体中に激痛が走った。アリスは声にならない悲鳴を上げる。そのアリスの顔を覗き込んできたのはダークだった。
「目が覚めたか」
今何時なのだろうか。この部屋には外の明かりは差し込まない。
蝋燭の光と、足元灯だけが照らしているので、夜も昼も区別がつかなかった。
一晩中、ここでダークに鞭を振るわれていたような気がする。
あの醜態が嘘だと思いたい現実に引き戻されて、アリスはダークから顔を逸らさずにはいられなかった。
そのアリスの頬を両手で挟んで、ダークは顔を近づける。
「知らなかったぞ。お前にあんな性癖があったとはな」
「な…っ」
言葉に出されてアリスは抵抗しようとして身を捩り、途端に昨日の鞭の跡が痛んだ。
「あんっ」
声を上げてから、慌てて口を押さえる。が、すんなりその手を取られて、ダークの唇が降ってきた。
「まだ感じてるのか?」
「そんなこと…」
否定させず、唇を奪う。甘い吐息を飲み干して、涙目で見上げてくるアリスにニヤリと笑って見せる。
「いつも以上に乱れていたぞ、アリス」
耳元で囁かれ、反論しようと顔を上げただけで、昨夜の痛みに身体が反応してしまった。
じくじくと、身体の芯が疼く。それを堪えるアリスの横顔はダークには何ともなまめかしく見えた。
生唾を飲み込む。
まだ鞭は足元にあった。蝋燭も十年分くらいは用意している。他の玩具も山ほど準備している。アリスが悦ぶようなものばかりを。
夜まで待つ必要なんてどこにもない。
にんまり笑って。
ダークは、もう一度アリスに魔の手を伸ばしていった。
END
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