美少女と野獣
T-5
「ああんっ、焦らしちゃやだあんっ」
アリスは甘い声を上げて、目の前の男を軽く睨む。が、潤んだ瞳では媚びているだけにしか見えず、男は切れ長の目を細めてアリスを見やってから、その豊かな胸の谷間に顔を埋めた。
「あ…やぁん…ゴルドールさん…」
アリスの胸の先端に舌を乗せてくる。その生温かな感触に、アリスは身を震わせる。既に開かれた両足の間には男の腰が収まっていた。その中心に触れる太く硬いものに、アリスは自ら腰を擦り付けていく。
「もう…ダメ…はやくぅ…キテ…」
アリスは自分の胸をしゃぶる男を見やる。見上げてくる男の黒い瞳が輝いた。
「え…?」
それが、思っていた男ではないと気づいた途端、アリスの中へ猛った肉棒がめり込んできた。
いつもの男のものより一回りも二回りも大きなものに思われるそれは、簡単にアリスの中へと沈み込んでいった。
「いやあああ――っ!」
腰を引こうとするアリスの足を開かせ、その上から全体重を使ってのしかかるようにして、男は己のものをアリスの奥へと、根元まで深く差し込んでいった。
その時、稲光が真っ暗な部屋を照らし、アリスの上にのしかかる男の顔を、暗闇の中に浮かび上がらせた。その顔に、アリスは凍りついた。
「ひ…っ!」
それは全身を濃い毛で覆われた、大きな獣だった。顔も手も足も身体も、全てが野生の獣のもので、物語に聞く野獣を思い起こさせた。ただ、黒く鋭く光る眼と、今アリスの中に埋め込まれている肉棒だけが人に酷似していた。
人型をした獣――アリスを恐慌させるには十分だった。
「や…やだ…いやああっ!」
アリスは震えながらも、とにかく逃げようと男の下で身体を捩った。が、いつの間に戒められたものか、ベッドの支柱に括られた両手は動かず、それよりも何よりも、男と繋がった下半身が男の物を銜え込んだまま、離そうとしなかったのだ。
逃げようとするアリスの気持ちとは裏腹に、男の物を逃すまいと吸い付くように締まっていくアリスの恥部。
「おねがい…助けて…」
アリスは首を振って懇願するが、男はそんなアリスから眼を逸らし、その二つの胸をわしづかみにする。
「や…あ…っ」
乱暴に扱われると思ったが、獣の手はアリスの胸をゆっくりと揉み上げ始めた。指先で掴まれた先端が硬く尖り始める。それと同時に、アリスの中で蠢き始める男の物。
「やだ……ああっ」
その熱い肉棒が、アリスの「その場所」をつついた。アリスは知らずに甘い吐息を漏らしていた。
「ここが、イイのか…?」
男の低い声が耳元で囁く。頷きかけて、アリスは慌てて首を振る。こんな獣に犯されてイクなんて、いくら男好きなアリスでもできなかった。ここは何とか耐えなければ。そう思ったわずかばかりの理性も、次の瞬間には闇の彼方へ打ち捨てられた。
男の先端が思いっきりの力で、アリスの感じやすい場所を突き上げたのだった。
「やあああ――んっ」
アリスは全身を震わせながら、男を見上げた。野生の獣の眼が、そこにあった。その目に飲み込まれていく気がした。ゾクゾクとした快感がアリスを包み込んでいくようだった。
「…やん…もっと…」
アリスは、その眼を見つめて呟いていた。
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