美少女と野獣
T-3


 通された部屋は、暖炉がたかれて暖かかった。

「ここを使うと良い。夕飯は後で用意をさせる」

 明かりの灯された部屋の中、男は更にフードを深く被った。そっとその顔を覗き込もうとするアリスの視線から逃れるように顔を背ける。

「あの…」

 その男の袖を掴んで、アリスは男の手袋と袖の間から覗く深い毛の色に小首を傾げた。途端、男の手がアリスの手を振り払った。

「そのままでは風邪をひく。シャワーを浴びて着替えろ。バスローブはバスルームの中だ」

 早口でそう言うと、男はまるでアリスの目から逃れるように部屋を後にした。

 アリスはそっけない男の態度に、それが何故か、無愛想なだけのものとは思えずに、また小首を傾げ、くしゃりとクシャミをした。

「やだ、ホントに風邪をひきそう…」

 アリスは慌ててシャワールームに飛び込んだ。









 こんな森の奥に、どうしてこんな屋敷があるのだろうか。古びてはいるが、家具はどれも上等なものに見えた。町の人達は知っているのだろうか。否、町に住む自分が聞いたことがないのだ。多分誰も知らないのだろう。

 外から見たらまるで化け物屋敷のように見えた。それなのに、中はこんなに上等で、シャワーも温かい湯が使い放題だった。

 ランプの光に照らされて、アリスは白く滑らかな肢体を丹念に洗った。

 16歳と言う年に似合わず、その身体は早熟だった。豊かに膨らんだ胸ははちきれんばかりに実り、細くくびれた腰と柔らかな弧を描く大腿、すらりと伸びた足は男達の肉欲をそそった。

 その真っ白な、染みひとつついていない膚に、アリスはふとひとつだけ朱の印を見とがめた。

「あんっ、もうっ。これ、ゴルドールさんだ…」

 ツンと形良く天上を向く胸の突起のすぐ近くに残っている跡にアリスは、その夜のことを思い出す。

 何度もしつこくその場所に舌を這わせていた。感じるアリスを焦らしながら、股間に伸びてくる手が、やんわりとアリスの秘所を撫で上げ、湿り始めたアリスのそこへ軽く先端を滑りこませてきた。

「あん…っ」

 アリスは思わず声を上げて、ふと、自分の羞恥に気づく。

 痴情を思い出しながら、片手で自らの胸を揉み上げ、もう片手で股間の恥部を撫でていた。

「やだぁ…」

 こんな見知らない屋敷で自分は何をしているのか。はしたないにも程がある。そう思いながら、アリスは少し熱を持って疼き始めた身体の奥を置き去りにして、そっと手を離した。

 その熱をごまかすように熱いシャワーを一気に浴びて、アリスはバスタオルにくるまった。






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あきゅろす。
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