青い月赤い石
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 騙していた訳ではない。黙っていただけ。言えなかっただけ。嫌われるのが怖かったから。失いたくなかったから。それ程までに非人道的なことをしたとの自覚がある。

 しかしそんな事はガゼルには言える筈もなかった。第一、何を言っても言い訳にしかならない。

「あたし、ガゼルさんのこと、もう信じられない」

 顔を背けたまま、絞り出すようにして言うセティア。

「決まりだな」

 ブレインが、そう言いながら近づいてくる。

「彼女のことも、石のことも全て諦めてもらおう」

 ブレインはガゼルの肩に手を触れようとして、弾かれる。振り返り様に相手を睨み据えるガゼル。

「ざけたこと言ってんじゃねぇよ。セティも石も渡さねぇ」

 言うが早いか、ガゼルは床を蹴って駆け出し、ブレインの懐に右拳をたたき込もうとする。が、一瞬の差で避けられた。

「なっ?」

 素早いブレインの動きに気を取られたため、後ろががら開きだった。

 その背後に別の人影が立ったかと思った瞬間、後頭部に激痛が走った。

 思わずうずくまる。

 が、すぐに起き上がろうと振り返る。その見たその先に光るもの――剣があった。それが素早く振り下ろされた。

「ガゼルさんっ!」

 悲鳴にも似たセティアの声が聞こえた。途端、肩から背にかけて鋭く熱いものが走った。

 もう終わりかと思って、そのまま気が遠くなっていった。






「ようやく全部揃ったな」

 ブレインの手の中には6つの赤い石があった。電灯の光を受けて、鈍く光っていた。

 それを手に、ベッドの上で項垂れているままのセティアを見やり、近づいて、顎を取る。

「諦めろ。ガゼルは死んだんだ」

 途端、パシリと手を叩かれた。

 睨み上げてくる目は、ガゼルのそれとよく似ていた。

「ガゼルさんが父母の敵だと言うのなら、あなた達も同じ。これ以上、あたしはあなた達の慰み物になる気なんてない」

「おっと」

 舌をかみ切ろうとするのを素早く見抜いて、ブレインはセティアの口を開かせ、シーツを手繰り寄せると、それを口に押し込める。

「ん…っ」

「安心しろ。すぐに死ぬ以上の苦しみと快楽を味あわせてやる。存分にな」

 言いながらセティアの両手を取って、ロープで縛る。

「んんっ」

 抵抗するが、まるで敵わず、セティアはされるままに両手をベッドの支柱にくくり付けられた。



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あきゅろす。
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