青い月赤い石
2
小さなボタンが四散する。ふんわりと、男達の前に晒される膨よかな双房。どの男だか、小さく口笛を吹くのが聞こえた。
「泣き叫んでいいぜ。ここいら一帯は俺達の縄張りだからよ、誰も助けになんて来ねぇんだ。ま、泣いて許しを請えば、一回くらいは気持ち良くさせてやってもいいがな」
言われて、セティアはギッと相手を睨む。
「誰がっ。悪いのはぶつかって来たそっちじゃないっ」
「この状況でまだ言うか?」
男はもう一度セティアの顎を捕らえる。
「じゃあ望みどおり声が枯れるまで鳴かせてやるよ」
言って、男はニヤリと笑って下を見る。そこにあるセティアの白い胸を無造作に掴んだ。
「いやっ、放してっ」
男は腰を屈めてセティアの胸に舌を這わせる。ゾクリと、背筋を走るものがあった。ガゼルによって慣らされた身体は、それだけの行為で十分反応する。
ぴちゃぴちゃと言う舌使いの音にセティアはすぐに身体の芯が熱くなる気がして、知らず知らずのうちに太股を擦り寄せた。そのセティアの動きに目ざとく気づくと、男はすぐにそこに手を忍ばせてきた。
「や…んっ」
触れられただけで、身体中に痺れが走った。
「気が早いな。もうこんなに湿ってる…」
男の言葉がセティアを更に刺激した。恥ずかしくて全身が熱くなった。こんな見ず知らずの男に少し触られただけで感じてしまう自分。早く、何としてもここから逃げ出さなければ、セティアはこのままこの男達全員を受け入れてしまいそうだった。男達に奪われるよりも先に、自ら堕ちてしまいそうだった。
「いや…」
下につけていたものを下着ごと引き下ろされる。両足を難無く抱え上げられ、あらわになるセティアの中心を開いて、男は直接その場所に指を絡ませてきた。もう足を閉じることはできなかった。
「やめて…お願い…」
小さく懇願するセティアの顔を覗き込む男。
「身体はそんなことは言ってないぞ」
侵入してくる男の指。硬く節槫立ったそれを、セティアは拒否する代わりに強く締め付けてしまう。
身体だけがセティアの意識に反して、男の言いなりなにっていく。
「いや…助けて…ガゼル…さん…」
呟く名。ポロリとこぼれる涙の滴。
その時。
「いい加減にしておけ」
声が聞こえた。はっとして振り返ると、光の方向――表通りを背にして一人の男が立っていた。顔が逆光で見えなかったが、背の高い体格の良い男だった。
「何だ、てめぇはっ」
「邪魔するな。ぶちのめされたいのか?」
毒づく男達に、相手は臆した様子もなく、ゆっくり近づいてきた。
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