青い月赤い石



「セティ…俺だけを…目を開けて、俺だけを見てろ」

 しかし、セティアはガゼルの入ってくる痛みに身を強ばらせ、身を捩る。

「ばかっ、力を抜け」

「やだ…いや…っ」

 セティアが逃げようとするのを押さえ付け、ガゼルはその細腰を掴んで、一気に根元まで押し込んだ。

「ああ―――――っ!」

 のけ反って身体を痙攣させるセティアを見下ろして、ガゼルは大きく息をつく。

 セティアの中のきつい締め付けが、痛い程に気持ちが良かった。セティアの身体の震えが、ひとつになった部分から生々しく伝わる。

 その中で、ガゼルはゆっくりと己をうごめかし始めた。

「…やだ…っ」

 セティアは自分の中で動きだした男のものに、気持ち悪いのかまた逃れようとする。その肩を掴んで、シーツの上に押さえ付ける。

「俺を見ろ、セティ」

 セティアは顔を背けたまま、ギュッと目を瞑っていて、ガゼルはその頬を軽く叩く。

 セティアはその衝撃にビクッと震えて、ガゼルを見上げてきた。目には脅えた色を残したままだった。その表情に満足している自分がいた。

 ――このまま凌辱し続けてやる。

 暗い思考が渦巻く。

 ――こいつは俺を苦しめている元凶。殺しても飽き足らないあの女の産んだ娘。思いきり辱めを受けさせて、ズタズタになるまで傷つけてやる。

 あの時のように、泣き叫べばいい。信頼していた親族に裏切られて、身を引き裂いてやったあの夜のように。

 セティアの左胸のアザに触れる。心なしか、先程より色が濃くなっているように見えた。

 ――許さない、こいつだけは。

 込み上げてくる憤り。

 セティアの中の自分を再びうごめかし始め、腰を使って激しく突き上げる。

「あ…ああ…っ!」

 セティアはガゼルのいきなりの動きに身を怯ませる。

 それを気にも止めず、ガゼルはその細腰を掴んで逃げられないようにしたまま、自分の欲望を高めていく。

「や…いや…っ…あああ…」

 セティアは痛みだけを感じている様子で、ピクピク震えながら、求める手は空を掴むばかりだった。

「ガゼ…ル…さま…っ」

 ガゼルを見上げて、溢れる涙。それを見ても何も感じなかった。ただ、征服しているのだと言う空しい満足感だけが膨らんでいるだけだった。

「く…っ」

 苦しくて、ガゼルは尚も腰を突き動かすことで、セティアにそれをぶつける。

 己の中の苛立ちと、激しい憎悪。

 ほんの少しだけちろちろと覗く後悔をなぎ払い、ガゼルは何もかも打ち捨てたくて、セティアの中に欲望のすべてを吐き出した。

 何度も何度も精を吐き出しながらセティアを見下ろすと、虚ろな目をガゼルに向けていた。頬を伝う涙が痛々しく見えて、ガゼルは目を逸らした。

「ガゼルさま…」

 弱々しい声が聞こえた。

「逃げられると思うな」

 セティアの左胸のアザを掴む。



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あきゅろす。
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