進撃
エレリ(捏造)
(巨人を全部倒した設定)
あなたと過ごした時間。
それが俺の宝物、それが俺の、未練になる。
全ての巨人が地上から姿を消した。
壁はなくなり、世界が広がり、そして、街が広がる。
「どうするんだ」
兵長が俺の顔を覗き込む。
いつになく険しいその顔は、俺の本心を引き出そうとしていた。
「答えろ」
全ての巨人が地上から姿を消した。
いや。
まだ一匹、…一人とも言うがいる。
「兵長…」
英雄にして、最強の恐怖。
それが俺だった。
人々を救った巨人を殺す。
人間と言うのは、時に残酷だ。
しかも、俺が愛した人に俺を殺すことを命ずるなんて。
救った世界を、一瞬壊そうかと思った。
「エレン」
「なんですか、兵長」
「怖くはねぇか」
「兵長、貴方は」
貴方はどうなんですか。
飲み込んだ言葉は、どこか苦い。
兵長に殺されるなら、本望なのだと思っていた。
数ヶ月前、兵長が俺の下で泣いた、あの時までは。
人殺しのレッテル。
最強の人類だからって、俺が巨人だからって、それが変わることも和らぐこともない。
最強の人類、そして人殺し。
「兵長、俺を殺してください」
それでも、あなたに殺されたいと願うのは、きっと最後の独占欲。
最後のキスは、少ししょっぱい。
END
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