ハイキュー!!
及影(アンケ一位)
ただただ美しいと思ったその軌跡が、頭から離れない。
追いかけて、やっと手が届いたと思った彼の背中。
しかしそれは一時的なもので、またあっという間に離れていってしまった。
才能というものでは補えない、努力、覚悟、決意、年月。
キュッと床が鳴る。
知らず知らずのうちに足に力が入っていた。
後どれくらい練習したらあんな綺麗なトスをあげれるのだろうか。
どんなタイミングでボールをあげればそんな連携ができるのだろうか。
時間が立つほど湧き上がる欲求。
時間が立つほど離れて行く距離。
俺たちは今、ネットを挟んで敵同士で。
もしも運命があるのならば、それはとても皮肉なものだとコートの中で思った。
手を伸ばせば届く距離にいるのに。
声をあげれば、振り向いてくれる距離にいるのに。
及川さん、及川さん。
俺は今、どんな顔をしていますか。
ちゃんとボールを追えていますか。
あなたの目に、どう映っていますか。
どうやったらあなたのトスに追いつけますか。
及川さん。
「トビオちゃん」
「…及川さん」
日向にあげたトスが、ひどくいびつなものに感じた。
(追う事が、こんなに辛くて切ないなんて)
(あの時に戻れるならば、きっと)
嗚呼、眩しい軌跡。
END
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