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ハイキュー!!
及影

それは、イコールで繋げるには重すぎて、でも足すでも引くでもかけるでもない。

そんな、割りきれないポジションの男。


影山飛雄。

俺にとってこいつは、そういうものだった。


天才、それでいて努力家。

手を伸ばせば簡単に掴めて、でも背中には手が届かない。

声を出せば振り向くのに、叫んでもこっちを向かない。


愛したくても愛せないのは、いったい何のせいなのか。

憎くて仕方がないのは、何故なのか。

愛してるのに、憎いのに。


この感情に、誰か理由をつけてくれ。

愛だの恋だの、嫉妬だの妬みだの。

両腕で抱えきれないこの気持ちに、綺麗にラッピングをしたい。

愛だの恋だのピンク色のほわほわしたのは愛しの飛雄にあげて、嫉妬だの妬みだのドロドロしてる色の感情は見えない片隅にかくしたい。


それなのに。

包むための言葉が見当たらない。

結ぶためのリボンも見つからない。





「トビオちゃんに、サーブなんか教えないよ」


お前に何ひとつ譲りたくないだなんて。


「何その顔」


「…いえ」


「ごめんね。俺がセンパイでさ」


一言に詰め込んだ気持ちを、きっと飛雄はきづかないだろうけど。

俺も多分、よくわかってはいないんだろうけど。




伝えたいんだ。



この気持ち。



ラッピングもリボンもない、拙い言葉だけれども、俺はお前に伝えるよ。


お前が憎くて、許せなくて、殺したくて。

その才能が手を伸ばしても掴めなくて、それが悔しくて。

バレーボールが怖くて、吐きそうで、でも好きで。

それ以上に飛雄が好きで。








「及川さん?」



ねぇ、飛雄。


俺は今、どんな顔をしてる?





「好きだよ、トビオちゃん」




これが嘘か本当か、今の俺にはわからない。




(恋する俺は、優柔不断)



END


恋するって、複数の矛盾が生まれるってことですよね。




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