ハイキュー!!
及影
プライドというものは実に厄介なものだ。
こんなもの俺はいらない。
そう思った時にはもう手遅れだったけれど。
王様。
誰かが俺をそう呼んだ。
コート上の俺はまるで王様のようだと。
来る者を拒み、突き放す孤高の王様。
それゆえプライド高き王は、一人であり続けなければならなくなった。
そんなこと、望んでなどいなかったのに。
誰かの隣にいたかったのに。
未だ王様のプライドは高い。
他人に認められて、他人を認めて。
プレイヤーとして、一人の人間として大きく自分は成長したはずなのに。
認めあえた仲間にすら、まだ本心をさらけ出せずにいた。
『プライド』
こんなものさえ無ければ。
俺は王様なんかじゃなかったのに。
「トビオちゃん」
「…及川さん」
「良い子だね、トビオちゃん。俺が躾けた犬みたいでさ」
及川さんは喉の奥でククッと笑う。
彼は今、躾けたと言った。
「本当、トビオちゃんは従順だよね」
「…なにがですか」
「わからない?」
一呼吸おいて、及川さんは。
『王様』
俺の思い通りになってくれてありがとう。
俺はお前がこうなるようにしたてあげたんだよ。
「孤高の王様は、プライドが高くなきゃいけないからね」
なにを言われているかわからなかった。
なぜ及川さんがそんなに笑っているのかもわからなかった。
ただ、俺が今までなぜ笑えなかったのかは、痛いほどに理解できた。
「お、いかわ…さっ」
「王様のくせに泣くなよ」
冷たい言葉。
「お前は俺だけにすがって生きれば良いの。トビオちゃん」
もういっそ。
この涙でプライドも流せてしまえば。
「愛してるよ、俺の王様」
響いた言葉も震えていた。
まさに共依存。
(そういえばトビオちゃん、初めて俺の前で泣いたね)
(大王、うるさいです)
(孤独な大王と王様か、滑稽な話だ)
END
好きすぎて及影書いてしまった\(^o^)/
でも私の及影のイメージはもっと色っぽい。
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