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テニプリ
忍跡


「俺ドイツ行くねん」

忍足の言葉に耳を疑った。

「景ちゃんはイギリスに戻るんやろ」

この春、俺たちは氷帝学園高等部を卒業する。

ジローと宍戸はエスカレーター式で進学し大学にいく。

岳人は他県の大学にいくらしい。

そして俺は、跡部財閥の後継者としてイギリスの名門大学への進学が決まっている。

「景ちゃんも大変やなぁ…。氷帝に残りたかったやろ」

「…お、したり。ドイツって」

動揺が隠せない。

俺は今どんな情けない顔をしているのだろうか。

「ドイツ行くなんて、聞いてねぇ」

「せやって、イギリスよりドイツの方が医学進んどるんやもん」

忍足の実家は名の知れた総合病院だ。

それに加えこいつは長男、跡継ぎというわけで。

「だって、お前イギリスの医大行くって」

「景ちゃん…」

忍足がゆっくりと俺を抱き寄せる。

「運命って、ヒドイもんや思わん?」

「ラブドラの見過ぎだ、ばぁか」

「せやなぁ。でもホンマヒドイわ…」

全部、何もかも親のやりたい放題や。

そう呟いて、忍足が抱きしめる腕に力を込めた。



「俺、大学卒業したらイギリス行く。
…俺んこと、待っとってくれん?」

俺の答えを聞いて、忍足はさらに力を込めた。

「景ちゃんにはホンマかなへんわ」





高校最後のキスをした。




(景ちゃん、待っとってくれてありがとう)


(おせぇんだよ、ばぁか)


END




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あきゅろす。
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