[携帯モード] [URL送信]

request
笠高(深春さん)

実力はほぼ同じ。

そう感じて虚しくなったのは俺な方だった。

黄瀬や緑間に勝てないのはもう心の隅で仕方のないことだと片付けた。

しかしこいつはキセキの世代ではない。

ましてや一年だ。

「笠松サン」

こいつは黄瀬みたいによく笑う。

笑うだけだ。

高尾の笑顔は、見てて辛くなるほど悲しげで脆い。

まるで触れたら壊れてしまうガラス細工のように。


「真ちゃん、あ、いえ、緑間の話なんですけどね。あいつ3P決まる確率また上がったんですよ」

こいつはよくわからないが俺に懐いてくれている。

本人いわく、お兄ちゃん的存在だとか。

「もうほんと、強くなってほしくないですよね」






「お前もな」


つい口から出てしまった一言。

高尾が目を見開く。

人をとらえる鷹の目が、不安気に揺れた。




泣きたいのはこっちの方だ。



お前はいいよな。

現実を知っているのに、それでも緑間に追いつこうだなんて。

俺にはそんな惨めなことできねぇよ。








「笠松サンも強いじゃないですか」





そう言われた瞬間、目の前が真っ白になった。

右手はジンジンしびれて、高尾の両目からは透明な液体がポタポタ流れて。

ああ、殴ったのか。

理解した途端

『俺は悪くない』

ひたすらそう頭の中で繰り返した。

こいつが悪いんだ。

こいつが俺のこと強いなんて言ったから。





「俺のどこが強いっていうんだよ、高尾」

叶わないと諦めた俺を、現実から目を背けた俺を。



お前に手をあげた俺を。


「俺はお前に勝てないんだよ」


二人で泣いた。


結構な時間が流れて、最後の方高尾の顔は涙でぐちゃぐちゃで、少しだけ笑った。

そして、いつの間にかお互い疲れ果てて眠りについた。




「かさまつさん」


そうこいつが寝言で言ってたのは、俺だけの秘密。


(まずは目の前の努力家から倒すか)



END


スライディング土下座しますね((真顔

甘くないです、はい。
しかもなんだか笠松サンがカオス。

こ、こんなのでよければ←


[*前へ][次へ#]

9/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!