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緑高(秀徳モブ女さん)

(高尾が失明する方を選びました)









「高尾っ!!」

誰かが俺を呼んだ。

その瞬間、世界が何重にもぶれて、揺れて。

最後に見たのは、真ちゃんのゆがんだ顔だった。












「高尾」

あの時俺を呼んだ声。

その声が俺を眠りから引きはがした。

「…しんちゃん?」

「…た、…かお」



今気づいたのだが、この部屋は暗い。

しっかり目を開けているはずなのに、何も見えないのだ。




真ちゃんの姿もわからない。





「ねぇ真ちゃん、この部屋暗くない?なんにも見えないよ。電気つけてくんない?」

寝起きでまだ目が慣れてないせいか、全く視界に色がない。

それに、頭もズキズキと痛む。

ああ、そういえばボールが当たったんだった。

なんて、冷静に考えていたのに。




「何も、見えないのか?」

「え、うん。だから早く電気…」





「電気は、ついているのだよ。カーテンもあいている」

それに、俺だけではなく、この場に先輩方もいる。

そう、真ちゃんは言った。

確かに言ったんだ。


「何言ってるの、真ちゃん」


それじゃあまるで。





「高尾」

宮地さんの声がする。

場所がわからない。

見えない。


「高尾」

キャプテンが俺を呼ぶ。

見えない。










見えない。










見えない、何も。





真ちゃんも。









バスケットボールも。










見えないよ、真ちゃん。











見たいのに。













「高尾」

真ちゃんの声が聞こえた。






「失明と言う言葉を知っているか」


真ちゃんが何か言った。

「緑間!!」


その瞬間、イスの倒れる音、誰かが立ち上がる音、様々な音が室内に響く。

宮地さんの怒声が響き渡る。

「ふざけるなよ!言って良いことの限度ってもんがあんだろっ!!」












わからないよ。








失明なんて、わからないよ真ちゃん。


















わかりたくないよ。










確かにそこにあるのに、確かにみんなそこにあるのに。





わからないよ。


どこにいるのか。

どんな顔をしているのか。







だって、さっきまで見えてたのに。

お前の綺麗な緑が、流れる汗が、鮮やかなジャージの色が。











わかりたくないよ、しんちゃん。







見えない、俺の、光。




君という名の、光が。












世界の壊れていく音、失われた色。


まるで、悲劇のヒロインのようで。







笑えない。









(永遠の闇の中で、緑に輝く君と)

(だってお前が俺にボールをあてなきゃさ)

END


モブさん、好きです。結婚してください。

なんですか、私がシリアス大好物だって、なぜばれたし。

私が好きな設定でのリクエスト、ありがとうございました、結婚してください。




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あきゅろす。
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