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宮高(月乃さん)
「あれ、パイナップルじゃないんですか」
「あ?」
「なんでもないでっす」
今日は朝から頭が痛かった。
空は曇ってて今にも雨が降りそうで、ああ、偏頭痛か、と勝手に解釈したのがいけなかった。
「パイナップルがなんだよ」
頭痛のするまま部活に出た俺は案の定ぶっ倒れて保健室行き。
おまけに38度5分という高熱をたたき出してしまった。
宮地さんはそんな俺を自転車の後ろに乗せて家まで送ってくれた。
「言っても怒らないなら言います」
「内容次第だな」
「じゃあ言いません」
「あ?」
ドスの聞いた声が、室内に響く。
にっこりと笑った宮地さんの笑顔は、日本史の教科書に載ってた某力士像にそっくりで。
死ぬほど怖くて口を開かずにはいられなかった。
「宮地さん、ホラ、リンゴ持ってきてくれたじゃないすか。見舞いの品だって」
「それがなんなんだよ」
「宮地さんが持ってきてくれる物のイメージってパイナップルだから、なんか意外っていうか」
宮地さんは最後まで聞くと、大げさにため息をついた。
それから、おまえがそこまでアホだったとはなんて哀れみの視線まで頂戴してしまう。
「なんなんスか、もぉ」
「いいか、よく聞けよ。説明してやる」
いつの間にか宮地さんはにっこりと笑っていた。
優しく、ゆっくりと俺の額を撫でながら宮地さんが話し始める。
「人間風邪をひいたときは、脳が糖分必要とするんだ。ウイルスと闘うためには、体をフルに働かせなきゃなんねぇだろ?」
「…はい」
「そんでだ。パイナップルの平均糖度は10、リンゴの平均糖度は13。リンゴの方がパイナップルより風邪のときはいいってわけ。わかったか」
「み、宮地さん…」
「あ?」
「俺のために、そこまで考えてくれたんですか?」
どうしよう、嬉しいし恥ずかしいしで、とりあえず心臓の音がうるさい。
「んなわけねぇだろ、轢くぞコラ」
宮地さんを見上げたとき、俺と同じくらい顔が赤かったのは、言わないでおこう。
(どうしよう、熱が上がる)
(高尾のやつ、風邪治ったらぜってぇ轢く)
END
月乃さん、とりあえずスライディング土下座します。
遅くなった上にこのグダグダ感。
しかも看病してない←
楽しんでいただけたら光栄です。
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