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青高(ひなたさん)

(桐皇高尾です)

コートに転がるバスケットボール。

誰もそれを拾おうとはしなかった。



それを見て、コートに座り込んだ高尾。


その背中があまりにも…。


あまりにも、儚げだったから。


体育館に響く高尾の泣き声に、俺は耳を塞ぐことしかできなかった。





「っ、…みどり、まっ…」


不規則な呼吸音と、嗚咽。

かすかに聞こえるあいつの名前。

こいつがどうしてこんなに緑間に執着するのか、俺には理解できない。


だって、たった今俺たちは秀徳に勝ったのに。

緑間に勝ったのに。



「青峰」

今吉が俺を呼んだ。

目は笑っていなかった。



「お前が高尾を連れて来ぃ」


お前にしか、高尾は心開いてないからのぅ。


ポン、と俺の肩を叩いて先輩たちは控え室に戻ってしまった。







「高尾、戻んぞ」

仕方なしに声をかけると、こいつはうつむいたまま先に行けと言う。


「大ちゃん、ちょっとほっといて」

「嫌だ」

「…なんで」

「知るか、んなこと」





ただ、お前が緑間の名前を呼んだのが気に食わなかっただけだ。


なんて。


また俺はこの気持ちに封をして。


「行くぞ」


お前の手を掴むんだ。



「大ちゃんなんて、…嫌いだ」

「はいはい、どーも」



そんなにお前はキセキが嫌いかよ。



そんなにお前は緑間を倒した俺が嫌いかよ。







残念だったな。


俺はお前のこと好きだぜ。


(つかんだ手は、もう離せない)


END

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