[携帯モード] [URL送信]

長編
それぞれの告白〜春のハルの遥かな想い〜
山本も、獄寺君の元へ行った。
きっとうまくいくだろう。
次はオレの番だ。
と意気込んだオレは京子ちゃんの元ではなく、公園でランボ達と遊んでいるハルの元に走った。
公園では楽しそうにランボやイーピンと滑り台で遊んでいた。
正確には、遊んでいる二人を姉のような目で見守っているという感じに近かった。
学校からほぼ全力で走ったせいで息が上がり、鼓動も早い。
それは、もしかしたら走っただけのせいではないかもしれないけど。
冷たくも暖かくもない、表現し難い気持ちいい風が吹いた。
「あっ!ツナさん、どうしたんですか?そんなに息切らして。」
いつもの明るい笑顔でハルが話しかけてきた。
「ツナーっ!ランボさんと一緒に遊ぶもんね!!」
オレの存在に気付いたランボは、嬉しそうに駆け寄って来た。
「ハル」
「はい?」
「話があるんだ。」
「はひ?」
当然のようにハルは驚いた顔をしていた。
「ツーナー!!」
ランボを引き離すために、オレはしゃがんでランボと目を合わせた。
「ランボ、後でブドウ味の飴買ってやるから、少し向こうでイーピンと遊んでてくれないか?」
「…わかった…。」
小さいながら台詞や表情から悟ってくれたのか、納得してテクテク歩いていった。
滑り台までの距離は、30メートルも無い。
そんな中、オレとハルは向き合った。
「ハルは、オレのこと本気で好きだって思ってる?」
「はひっ?!な、何ですかそんなストレートに!?照れちゃいますよ、もう!」
「ハル…。」
「……。」
初めはいつものように照れていたハルだったが、ランボ同様に事の深刻さを理解し、笑顔が消えた。
「はい、ハルはツナさんが好きです。」
オレもこれから告白する身だから、痛いほど分かる。
恐怖、緊張、羞恥…色んな感情があるにも関わらず、ハルはオレの事が好きだと真っ直ぐ言う。
「ハル、ありがとう。」
でも、ハルがそれを肯定的に受け取るまでに、オレは「だけど、」と付け足した。
「オレは、ハルの気持ちに応えられない。ゴメン…。」
その言葉を聞いて、ハルの表情は硬直した。
「オレ、京子ちゃんが好きなんだ。だから…。」
ゴメン オレはもう一度そう言った。
「…分かりました。」
ハルは目を瞑って頷いた。
「じゃあハルは、ツナさんの恋を全力で応援します!絶対に成功させて下さいね!!」
するとパッといつもの明るい笑顔を浮かべて、そう言った。
強いな、と思った。
下手したら、フったオレの方が泣きそうな状況なのに、それでもハルは笑顔だった。
「ハル…。」
「さぁ!これから行くんですよね?京子ちゃんのとこ。行ってらっしゃいです!」
オレはハルに背中を押され、最後に一言「ありがとう」と言って駆け出した。

「本当に…行っちゃった…。」
「ハルー!遊ぼー!」
「そうですね…ランボちゃん。」
「…ハル?何で泣いてるの?」
「何でもないです…っ。目に土が入っちゃったんです…。」
「…?」
「だから、ちょっと泣いてれば…大丈夫です。」


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!