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おはなし達
言葉と身体
いつからだろう。気に食わない山本を好きになってしまったのは・・・。
自分でもバカバカしく思う。
いっつも「アホ」とかばっかり言っていたが、実はもう初めから好きだったのかもしれない。

「なぁ・・・。オレ、好きなやついるんだけどさ。」
牛乳を飲みながらオレと十代目に話してきた。
「告白すればいいじゃん。山本モテるんでしょ?」
「いやそうなんだけどさ・・・」
モテるという言葉を否定しない山本に少し腹を立てながら、話を聞いていた。
「いや。でもなんかオレに興味がなさそうなんだよね〜。」
「そんなことないでしょ。山本に興味ない女子なんてみたことないよ。」
オレはもう、その会話に入らず、端のほうで煙草を吸っていた。
昼休みが終わるチャィムが聞こえた。
十代目は教室へ帰ったが、オレは面倒になったのでサボることにした。
しかし隣にはその場を全く動こうとしない山本がいた。
「お前バカなんだから授業くらい真面目に受けろ。」
といってやったが、「ひでぇなぁ。」といって、その場を動こうとしなかった。
ハァと深いため息をすると
「どうしたの?」
と心配するようにオレをみる。オレはいつもの素っ気ない口調で「なんでもねぇよ」と答えた。
そして山本は「そっか・・・。」と言って話題を好きな女の子のことに変えた。
オレにうれしそうに今までの経緯を話した。正直ムッっとした。
嫉妬・・・だろうか。
「なんでその話をオレにするんだ?別に他の奴等でもいいだろう。」
オレの口から不意にこんな言葉が出てしまった。
山本は一瞬驚いた顔をしていたが、オレにとってはムカツク話を止めてくれたので、別に良かった。
しかしその言葉は山本の気を悪くしたようだった。
「獄寺何でそんなこと言うんだよ!?」
山本は少し怒った口調だった。
オレはもう帰ることにした。
授業も出ねぇし、屋上にも山本がいるためあまり居たくない。

『オレ・・・なんであんなこと言ったんだろう・・・?』

その日からオレは山本を避けるようになった。
山本からも話しかけることはなくなった。
十代目は心配してくれていたが、オレは「気のせいですよ」とあの事を片づけていた。
一週間くらい経った頃、オレは学校も休んだ。
山本に会いたくないという理由からだろう。
だが、十代目から「勉強を教えてくれ」と電話があったので、オレは十代目の家に行った。
そこで十代目が山本の話をし始めた。
なんでも、あの日から結構落ち込んでいるらしい。
「あいつのことなんか知りませんよ。オレが嫌いなことにやっと気づいたんでしょう。きっと。」
そう言って、その話から話題を勉強に戻した。
そのあとから、その話は出てこなかった。
家に帰ったオレは、「ザマー見ろ!」と心の中で言った。
そのあとオレはあの日のことを不意に思い出した。
好きなやつのことを語る山本の笑顔が浮かんだ。
なんとなく腹が立った。
その時オレは腹が立った理由がよくわからなかった。

次の日、オレは朝の10時頃に目が覚めた。
それからゆっくりと支度をし久し振りに学校に行くことにした。
午後からでるつもりだったので、途中にあるコンビニで昼食を買い屋上へ向かった。
だが、そこに十代目の姿はなく、あったのは寂しそうに牛乳を飲む山本の姿だった。
「十代目は?」
「今日は来てねぇぜ。」
「そうか・・・。」
避けていたはずだったのにいつの間にか話せていたことに、自分でも少し驚いた。
十代目がいないので屋上にいる意味がないと思いオレは教室に行こうとしたが、山本に呼び止められた。
「オレ、獄寺に何かした?」
―――――した。
けどそんな気持ちを悟られたくなくて、オレは「別に」と言ってその場を去ろうとした。
だが山本の力強い手に掴まれ動けなくなった。
「山本、離せよ!!」
案の定、離すわけでもなかった。
「・・・オレ、昨日好きな子に告白されたんだ・・・。」
「だから何だ。そんなことオレに言ったって・・・」
「でもオレ・・・断った。」
「ハァ?なんでだよ。好きだったんだろ?」
「うん・・・。」
あの日と同じ、昼休みが終わるチャイムを聞いた。
だが、山本はオレの手を離さそうとしない。
なんとなく体温が気持ち悪く感じたオレは、全力で山本の手を振り払った。
「別にオレは、お前の恋愛に興味は無ぇ!!」
「・・・獄寺・・・。オレのこと嫌い?」
そう逆に尋ねられたオレは少し戸惑った。
「オレ・・・は・・・」
途中までは言った。
しかし山本は最後まで聞かずにオレを抱きしめた。
「離せ!!てめぇ気色悪ぃんだよ!!!」
「やだ。」
「ハァ!!?なんでだよ?」
「だってオレ・・・ずっと獄寺の傍にいたいんだもん!」
「・・・っ!」
だもんって・・・と思いながらオレは返事に困った。
「どういう意味だ・・・?」
「オレ・・・獄寺のことが大好きなんだ!!」
オレは驚きと戸惑いを隠せなかった。だが、正直うれしいところもあった。
だが、なぜだか分らなかった。
―――――これって・・・これまでのオレの気持ちは・・・
「獄・・・寺?」
気がつくと山本は手をほどいていた。
そしてオレの顔を覗き込んだ。
オレは山本を突き飛ばした。
「オレ・・・は・・・お前のことが大っ嫌ぇだ!!」
だが、オレの体は言葉とは逆に山本のほうへ向かっていた。
「大っ嫌ぇだ・・・」
オレの顔は、いつの間にか山本の胸の前にあった。
嫌いなのに、嫌いなのに・・・オレ自身が山本に歩み寄っていた。
「獄寺って面白ぇのな♪」
オレはその言葉に腹が立ち、顔を上げると真剣な表情でオレを見つめる山本がいた。
その顔はだんだん近付いてきていて、オレは思わず目を瞑った。
ほんの数秒後、山本の唇がオレの唇に触れた。オレただ、それを受け入れるしかなかった。
唇が離れて、目を開けるとそこには満面の笑みを浮かべた山本がいた。
「獄寺!大好き!」
そう言ってまた抱きしめられた。山本に抱きしめられる感覚が、すごく心地よかった。



初めて書いた文章です。
見事な駄作。
アップしようか迷ったくらい・・・

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あきゅろす。
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