春に寄り添う龍 2 「弁当がどうかしたのか?」 「あ、待っ」 ひょい、と取り上げられ蓋を開けられたそれ。 「……ククク…」 龍仁は肩を震わせて………笑っている。 「わ、笑うな!だから見せたくなかったのに〜っ」 「悪い悪い、いや、春海に似合ってると思うぞ?」 両脇に手を入れられ、軽々と抱き上げられいつの間にやら龍仁と向かい合っていた。 「似合わなくてもいい!」 手をジタバタさせながら抵抗してみたが、まったく効き目無し。 「そういえば、来週から学園祭の準備が始まるんだったか?」 「うん!」 この高校は、以外と行事が多い。春には、交流会。夏には、学園祭に水泳大会、秋には体育祭と芸術展覧会。そして、冬は…… まあ、それはまだ秘密にしとこっかな。 「春海のクラスは、何をするんだ?」 「喫茶店……て、いい加減降ろしてよー…」 「それは無理だな」 腕を突っ張ってみるが、そんなの気にしてないように腰に手を回す龍仁。 「俺ら、完全に見えてなくね?」 「は、春海…(不良怖い不良怖い不良怖いよー!!)」 「完璧に二人の世界だ」 「胸やけがしてきた…」 「…俺も。」 俺の頭を撫でる龍仁の手が気持ち良くて、後ろの会話は全然耳に入ってこなかった。 「ノブ、疲れてない?」 教室にもどる途中、聞いてみれば 「……不良怖い。(それに、胸やけが…)」 と返って来て、具合が悪そうにしていたのでそっとしておいた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |