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you love me ?

「***ッ!!」

「ぅわっ!」


明るく名前を呼ぶ声が聞こえたと思った途端、後ろからがばっと抱き付かれ、前につんのめる。
しかも部屋に入ろうとドアを開けた直後だったので、完全なる不意打ちだ。
キッと振り向き様に睨みつけても、彼は笑ってばかり。


本当に困る。




【you love me ?】






「…重いんですけど。」

「知ってる。」


未だに抱き付いたままのラビ。


「…疲れてるんですけど。」

「知ってる。任務明けだもん。」


片手でドアを器用に開けるラビ。


「…早くベットに横になって寝たいんですが?」

「じゃぁ添い寝してやるさ〜」


ごく当たり前のように、部屋の主である***よりも先に、部屋に上がりこむラビ。
そしてベットの上に腰掛けて、『来い来い』と手で合図をしている。
任務で会ってない数週間に伸びたのか、下ろしていた髪が窓から差し込む夕日と同化していた。

綺麗な赤みがかった橙色。


ラビはの答えは、いつものことながら私の予想の右斜め上をいく。
どこをとうしたら『添い寝』という単語が出てくるのだろうか…?


「結構です。遠慮します。やめて下さい。」

「ひどー***!」


いつものラビ。
そして…
いつもの私。


「……酷くないし、っていうか出てって!ここ私の部屋なんですけど!!」

「知ってるさぁ〜」

「はあ…」


全く理解していないだろ!という突っ込む気さえ起こさせぬラビの物言いは、なんとも清々しいくらいに爽やかで、それを厭うことは何故だか出来なかった。
仕方無しに、ラビの座ってるベットに寝そべった。


「なぁなぁ、***は俺の事どう思ってるん?」

「どうって言われても…」


もう何度目だか分からない質問に、いつものように答えた。
実のところ、私は1ヶ月くらい前からラビに猛烈アタックされている(らしい)
その初めの質問の時はからかわれているんだと思って、まともに相手などしていなかったのだけど、何度目かに理由を聞いたら一目惚れしたとか…
そんなこと言われたって、私はラビのこと良くしらなかったし、ましてや付き合うなんてことは考えてもみなかった。
いつかは諦めてくれるのだろうと思っていたのに、それはエスカレートする一方だったのだ。

天上を向いていた体をラビのいる左側にごろんと傾ける。
視線がぱちっと小さな火花を上げて消えた。


「好き?」


ラビは兎のように曇りのない目で訊ねる。


「…………嫌いじゃない(ぽつり)」


そう呟きながら、顔を逸らした。
だってその一言を言う事でさえも、私にとっては難しいから。


「微妙…じゃなくて今の間は何!?」

「…別に。」


背中越しに不満そうなラビの声が聞こえる。


「ふーん。」

「何?」


今度は意味深な声が聞こえたかと思うと、背筋をつんつんと突付かれた。
当然、くすぐったさに小さく身を捩る。


「いやー***って可愛いなって思って」

「はあ!?」


私はその言葉にビックリして、飛び跳ねるような勢いで起き上がったのち、ベットから後ず去った。
すごく熱い…きっと今の顔は誰が見ても真っ赤だと思う。
そんなとこを見られたくなくて、ラビから顔が死角になるように腕で隠した。


「うんうん。新鮮な反応〜益々落としたくなっちゃうさ♪」


必死の行動も虚しく、ラビは全てお見通しのように言う。
私は恥かしさでいっぱいになった。


「〜っ//勝手にすれば!」

「じゃぁ、勝手にさせて貰います〜」


ラビは私の言葉を聞いた途端、含み笑いを浮かべて、床に座り込む私の前へと歩みを進める。
逃げようとするも、ラビの独特の気迫に手足を縫い止められてしまったように動けないでいた。

目の前にラビの影が落ちる…

どうしてか怖くて、目をぎゅっと瞑った瞬間。


ちゅッ
小さな音がした。


「んっ!?」


唇に触れる暖かな感覚。
それがキスであるとわかったときには、ラビをこれ以上ないって程、押しのけていた。
もちろん目はまんまるで、俯きながら。


「***〜?」


スッと、ラビが離れた私の腕を掴む。


「ちょっ!?やめっ…!」

「勝手にしていいって言ったのは***っしょ?」

「言ったけど、こういうのは別!第一恋人同士がやるもんでしょうが!!」


私が本気で怒っているのに、いつもの少年のような笑みを浮かべているラビ。
顔は少年なのに、やることはおとな。
私は…君には追いつけない。

だって私はこどもだから。



「だって〜***ってば全然OKしてくんないんだもん!」

「はあ〜全然反省してないし…っていうか私のファーストキス返せ!!」


涙目になりながら襟を掴んでガクガク揺らしても、語尾にハートマークを付けて、にっと笑いかけるラビ。
何を言っても無駄な態度にがっくりと肩を落とした。
物凄く深い溜息をつくと


「気にすんなって、減るもんじゃないし」

「減ってないけど、消えたよ!私のファーストは!!どうしてくれるんだ!」

「んーじゃ、責任取るからOKして?」

「…絶対いや。」


なんて、延々と続くのではないかという連鎖の会話が成されるばかり。
そしてラビは少しだけ寂しそうに私を見やる。
どうして寂しそうなのか分からない私が、きょとんと見返すと、大きく深い深海のような溜息をつれてしまった。


「はあ〜」

「なんでラビが溜息つくの?」

「別に。」

「ふーん。」


さっきとは真逆の立場になっているラビと私の関係に、くすりと笑みを零す。


「何さ!?」


何にも理解していない様子のラビに、またまた微笑を送ってから、暗い天上を見る。


「ラビってさぁ…私のどこがどうなって好きな訳?」

「いきなり何言ってっ」

「あっ照れてる〜」

「〜っ!このやろっ!!」


さっきまでおとなしくしていたから油断していて、ラビが向かって来たことに一瞬だが反応が遅れてしまった。


「うわわっ!?」


何が何だかわからずに堅く冷たい床に背を預けていたことに気付く。
ラビに押し倒されたと危機感を覚えて起き上がろうとするも、男の人の力には敵わず、押し戻されるだけ。
諦めて身を委ねても、何をされるわけでもなくて、代わりに少しだけ掠れた言葉が聞こえた。


「全部。」

「え…?」

「全部好きさ。***のこと。」


今まで以上の真剣な翡翠色の瞳に射抜かれて、トクンと心臓が波打った。


「ら、びっ!?」


顔を真っ赤にして逸らすも、今度はラビの手が顎を捉えて固定されていた。


「たとえ***が他の誰を想ってたとしても、お前だけが好きなんさ…大好きなんさ。」


「ばか兎」


「なっ!人が折角真面目に告白してんのに!!」


恥かしすぎて目は合わせられないけど、ラビの服をひっぱって


「好きでもないひとは、疲れる時、部屋になんか入れないよ。私の性格知ってる、でしょ?」


耳元で、誠意一杯を呟いた。



「***っ!可愛いやつ」

「だぁー普通に気付いてよ!」


ぎゅうぅッと音が聞こえるんじゃないくらいに、抱きしめられて囁かれる。


「じゃぁ俺らもう恋人どうしな?」

「う、ぅん・・・」

「もうぜぇったい離さないかんな?」

「はい、はい」



初の告白から何度目かの君の抱きつき攻撃を受けながら
私は、受け止めきれないほどの『愛』と『幸せ』を、噛み締めてる(と思う)


私もおんなじ。
大好きだよ。ラビ。



永遠に織り成す私たちの言葉。
ずっとずっと広がってゆく。





end



あとがき!

初ラビ夢でした〜
照れますね、こういう内容は・・・
なんだか謎です(苦笑)

主人公さんツンデレ気味でいままでに無いタイプっだので楽しかったです^^


ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!


2007.3




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