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『涙の部屋2』 骸綱



何度も「マフィアの殲滅の為」だとか「沢田綱吉の体を乗っ取る為」だとか言いながら、いつも俺を助け、支えてくれた。

今だってそうだ。

俺が悩んでいる時に限って『コイツ』は俺の前に現れる。


『コイツ』と関わるようになっていくにつれて、気づいた。
俺にとって『コイツ』は大切で誰よりも守りたい人なんだって。


俺は『コイツ』のことがー・・・・


ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー



いつまでも泣いていたせいか、目尻が痛い。きっと赤くなっているだろう。

痛くてショボショボしている自分の目を手で何度も触って腫れていないか確認する。


「腫れてますよ、ボンゴレ。」

クスッと笑う『アイツ』。
ちょっとムカついたからプイッと外方を向いた。


「・・・・・どうせ、格好悪いとでも思ってるんだろ・・・・・ッ!」

だから嫌だったんだ、『コイツ』が部屋に入ってくるのが。
絶対、からかいに来たなが目的なんだろッ!
そう思っていたらまた涙が戻ってきた。
しかし、『アイツ』はからかう事はしないで俺の頬を撫でて自分の方に向かせ、目元にキスを落とした。


「いいえ?全然。むしろ可愛いですよ?」

「・・・・・なっ!!」

ニコッと笑顔を向ける。
俺はまた全身が熱くなる。
きっと今、俺の顔は真っ赤になっているだろう。

なんで『コイツ』はそんな事を平気で言えるのだろうか。
つーか、男に『可愛い』だなんて言われても嬉しくないんだからなッ!!

嬉しいはずが・・・・・ーー
ないのに、『コイツ』に言われると嫌な感じは、しない。


「・・・・・僕は君を嫌いにだなんてなりませんよ?」

「・・・・・えっ?」

優しい瞳で俺を見つめる。
まるで告白を受けているような感じだ。俺は今、もの凄く緊張している。
ドキドキと鳴る心臓。収まれ!と思うほど激しさを増す。


「君がマフィアの次期ボスだとしても、君を好きなのは変わりありません。」


え・・・・・、『コイツ』今何て言った?
『好き』?
・・・・・俺が『好き』ッ!?
心臓がばっくんばっくん鳴っている。

じょ、冗談だよなッ!!絶対そうだッ・・・・・!だって一般的に考えてみても可笑しい事じゃないか!!

『男』が『男』を『好き』だなんて・・・・・!!言ったとしてもそれは友達同士のスキンシップか、からかっているかのどちらかであってーー・・・・・。



(・・・・・・・・・・ズキッ・・・・・)

・・・・・あ、あれ?
何だ?今のは・・・・・。
胸当たりが苦しくなって、悲しい気持ちが溢れ出てくる。
その悲しみは目尻に溜まっていき、雫と化する。


「・・・・・何故また君は泣いているのですか?」


その異変に気づいた『アイツ』は俺の流した涙を優しく拭う。何故こんなに優しいのか。
その優しさに溺れてしまいたい気持ちでいっぱいだ、が・・・・。

「・・・ぅっ・・だっ、て・・・・・お前マフィア嫌いだ、ろ・・・・。なのに俺、に関わって・・・くるし、優しくするし・・・・・ひっく・・・。・・・・・もうこれ以上、俺と関わるなよッ!」


そうだ、今まで俺が悩んでいたこと。それは、
『マフィアに入ったらコイツとどう接すればいいのか』不安だったんだ。
『コイツ』が今、仮にも俺の事を『好き』だとしよう。
しかし、俺は『コイツ』の嫌いなマフィアのボス候補。
もし、マフィアになったら『コイツ』は俺から離れてしまうのか?『コイツ』に恨まれ、嫌われながらマフィアに君臨するのか?

そんなの・・・・・


そんなの堪えられるわけないじゃないか・・・・・。


しかし俺は本人にこんな事、言えない。言えるはずがない。
恥ずかしいし、何より『コイツ』からこの事を肯定されたくないから。
だから俺は絶対に言わない。
言わない代わりに涙がボロボロと落ちていく。

チラッと『アイツ』の様子を見た。
涙で少し歪んで見えるがそんなに見えなくもない。

『アイツ』は少し困ったような顔をしてから、子供が悪戯をする時みたいにニヤッと笑みを浮かべた。
何を企んでいるんだ、コイツ。
すると、いきなり顔を両手で持ち上げられた。


「確かにマフィアは嫌いです。しかし、君は別です。」


次の瞬間、俺の目の前が真っ暗になった。一瞬、何が起こっているのか分からなくなったが、すぐに把握した。

唇に柔らかいものが当たっている。


「・・・・・・・・・・っ!!?」


キスだ。
今、自分は目の前にいた『アイツ』とキスをしている。

唇と唇が軽く触れ合う程度のキス。しかし、それだけで俺の心臓は限界だと言っている。


「奪っちゃいました♪」

『アイツ』はキスに満足したのかご機嫌良く俺に優しく微笑んでいてくれている。ちょっと僅かに頬が赤いのは気のせいではないだろうか。

・・・・・こんなの反則だ。
こんな事されたら誰だってときめくのは当たり前だ。



いつの間にか涙は止まっていた。あんなに収まらなかったのにー・・・・・。
すると『アイツ』はまたクスクスと笑いながら、「涙、止まりましたね。」と言い、俺の瞼にキスを落とす。
また俺はそんな行為に反応してしまい、顔全体が熱くなる。

もう、何なんだこいつはッ!!俺を殺す気かッ!!


「ずっと傍にいますよ、ボンゴレ。一生護っていきます。」

また軽いキス。リップ音が俺の耳に届いてくる。
さっきからいろいろありすぎて目眩を起こしそうになる。

『アイツ』は嬉しそうに笑っていた。


「好きです、ボンゴレ。君は世界の中で最も愛する人です。だから・・・・・笑ってください。」


今までに見たことないんじゃないかって思えるほど綺麗な笑顔だ。
こんな笑顔を見て『綺麗だ』と思わない人がいるだろうか。
いや、絶対にいない。そう断言出来るほど綺麗だ。


少しぐらいは自惚れてもいいだろうか。
俺は『コイツ』を信じたいし、ずっと・・・・・


ずっと隣にいたい。



でも俺の心臓が止まったらお前のせいだからなッ・・・・・!!

耐えられなくなった俺は勢いよく『アイツ』の胸に飛び込んだ。そして『アイツ』の耳元で自分の気持ちを囁いた。

恥ずかしいから小さい声で。



俺は・・・・・





『骸』が好きだ。



その後、嬉しそうに笑う『アイツ』に俺は最高の笑顔を見せて、忘れられないようなキスを届けた。
世界で最も愛する『骸』に。



*************

〜おまけ〜


「なぁ、今思ったんだけど何で俺が悩んでたの知ってたんだ?」
「・・・・・さぁ?」

「惚けるな、何・で・だ?」

「・・・・・アルコバレーノに頼まれました。」

「・・・・・・嘘だな。」

「超直感ですか。はぁ・・・・・、厄介ですね。」

「白状したらどうなんだ?」

「分かりまかしたよ、本当はコレです。」

「何、コレ?」

「何って『盗聴器』ですよ。」

「・・・・・はあぁッ?!」

「これは年中無休働いてくれる優れものでしてね。これの御蔭で綱吉くんの異変に気付きm・・・・・・・・・・痛いですッ!!髪の毛を引っ張らないでください!!何するんですかッ!!!」


「俺のーー・・・・・俺のトキメキ返せぇぇ〜!!


******
最後はギャグでしめました!
この二人は切ない系とギャグ系がしやすいです。私は結構この二人、好きですけどね




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あきゅろす。
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