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『好きと伝えたい』雲綱



(雲雀さんって綺麗だなぁ・・・。)


ふと思った。


俺は今、応接室のソファーに座って仕事をしている雲雀さんを見つめている。


俺達は一応そういう関係であり、付き合い初めてから3週間が経とうとしている。


3週間前、俺はいきなり放送で雲雀さんに呼ばれ、応接室で告白された。
最初は雲雀さんはカッコ良くて憧れる存在ではあったが、男同士で付き合うなんて考えられなかった。

だから告白を受けた時、その場から逃げ出したかった。
しかし、並盛の君臨する暴君から逃げれるわけがなく、最終的には脅された。

仕方がなく俺はYesと答えた。強制的にと言っても過言ではない。


しかし、付き合い初めてみると雲雀さんのいろんな所が見えてきた。


例えばー・・


先週、雲雀さんの誕生日があった。
一応付き合っているのだから、誕生日を祝ってあげようと思い、プレゼントを渡した。

プレゼントはヒヨコのキーホルダー。
選んでいる時間がなく、咄嗟に買った物だった。

こんなかわいい物なんて好きじゃないと思ってビクビクしていたがー・・・

これを見た瞬間、今までに見たことない満面の笑みが浮かんでいた。『ありがとう、大切にするからね。』

そんな雲雀さんを見てドキッとしたのは自分でもビックリした。



それから、俺は気づいた。

普段なら見せないような顔を俺の前だけで見せてくれている。

それが凄く嬉しくて、段々と雲雀さんにハマっていった。






放課後は毎日、応接室に来るようにしている。
そうでもしなくては雲雀さんに会えないからだ。

今では、きっと俺のほうが雲雀さんを好きだと思う。
だって、雲雀さんを見るたびに胸が熱くなって、少し触れただけで心臓が高鳴りだすのだ。


しかし、今まで俺から『好き』と伝えた事がない。告白は雲雀さんからだし、何より言うのが恥ずかしい。

しかし、自分の気持ちを相手に伝えたい、その想いは本物だ。

実は今日はその為に此処に来たのだ。
今日こそはちゃんと雲雀さんに『好き』って言うんだッ!!

その為に今日までどれだけリボーンに扱かれたことか・・。
思い出すだけで涙がッ!!





「・・・・・・何?僕の顔に何か付いているかい・・?」


雲雀さんは走らせていたシャーペンを止め、こちらを見ている。

ハッとした。
ヤバい。俺、いつの間にか雲雀さんの顔に見とれすぎてた・・ッ!!


「いっ・・いえ!別に何でもないんで気にしないで下さいッ!!」


俺は顔を真っ赤にしながら横に振り、必死に否定した。

恥ずかしい気持ちもあるが、何より雲雀さんの気分を損なわせるのが一番怖い。





「・・・ふーん。でも、本当の事を言わないと咬み殺すよ。」

雲雀さんはその反応を見て、顎を左手の甲に乗せ、笑みを浮かべてこちらを見る。
少し黒いオーラが出ているのに気がついた。


ヤバい・・・!!機嫌損ねたかッ!?
どっ・・どうしよぉ〜・・!!

俺は汗って俯きながら考えたが、やはり言ったほうが安全だと思い、言う事にした。



「えっ・・えっと、雲雀さんって綺麗だなぁ〜って思って見惚れてました〜・・。」


「それで、他に何考えてたの?」

うっ!!そこまで追求するのかッ!?しかし、答えなくては後が怖い。

・・・んッ?でも、待てよ。
今、言っちゃえば良いのでは?
良いやッ!どさくさに紛れて言ってしまえッ!!


「そっ・・それで、改めて雲雀さんが好きだなぁ〜って実感しました〜。ハハ、ハハハ〜・・。」


俺は照れ隠しにぎこちなく笑い、頭を掻いてみせた。

頬に汗が流れ落ちるのが分かる。きっと今、俺の顔は熟した林檎並に赤いだろう。
どさくさに紛れて『好き』と言ってしまったから。


雲雀さんの反応が気になり、チラッと見た。

するとー・・・


「・・・あ、あの〜・・・。雲雀さん・・?」


雲雀さんは何故か両手で自分の顔を隠すように覆い、静止したままだ。微動だにしない。

どうしたんだろうー・・・

少し気になり雲雀さんに近づいて様子を伺う事にした。


「・・・・雲雀さ〜ん?大丈夫ですか?」


しかし応答はなし。雲雀さんの所だけ時間が止まっているようだ。

だが、よく見ると雲雀さんの耳が真っ赤に染まっている。

これは、もしかしてー・・・


「・・・心臓に悪い事言わないでよ。苦しいじゃんかッ。」


やっと喋ってくれた雲雀さんの声は動揺が入り混じり、少しだけ震えているように聞こえた。
両手はまだ外してはくれないみたいだが、目元だけ覆っているだけで、他は見えた。
見えている所だけだが、やはり火照っている。

やはりー・・・
雲雀さんは照れているようだ。俺が『好き』と言った事に相当ビックリしたようだ。

そう考えていたらいきなり目の前が暗くなった。
雲雀さんが俺の前に来て、抱きしめたのだ。
カアァァーーッ!!とした熱気と飛び跳ねる心臓の音が伝わってくる。
よく見ると手までも赤い。


「・・・君のせいで僕はこんなになっちゃったんだよ?どう責任とるのさッ!」


俺を抱きしめながら照れ隠しをする雲雀さん。
それがとても愛しくて、俺の心臓が締め付ける。


「でも、俺は雲雀さんに気持ちをちゃんと伝えたい。今日はその為に来たから・・・。」


そう言うと雲雀さんは俺の体を少し引き離し、お互い見つめ合うような形になる。


「・・・続き聞かせて?君の気持ちを。」


雲雀さんはまだ顔が赤い。俺も負けてはいないと思うけど。

気づけばキスが出来るぐらいの距離になっていた。
きっと今口を動かせば、必ず唇が当たる。しかし、今はそんな事どうでも良かった。


「・・・雲雀さん、俺は貴方が好きです。」


俺の勘は的中。唇同士が当たった。その衝撃で雲雀さんは我慢出来なかったらしく、俺の口を塞ぐ。


リップ音が応接室に響き渡った。



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甘めを目指して書いたものだったんですが、最後がまとまらない!オチはどうする!でてんてこ舞いでした。

雲雀が照れているところが可愛いと思います!!
でも、一番可愛いのはやはり綱吉だと思うなッ!!

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あきゅろす。
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