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『冬』雲綱




冬が寒くて本当によかった・・。

ふと思った。


今は冬真っ只中の12月の中旬。

僕は綱吉と一緒に下校中だ。


誰もいない寒空の下でこうやって君と一緒に歩く事が何よりも楽しみだった。


隣に歩く、僕の愛しい子。
なんだか、とても寒そうだ。小刻みに震えている。



「綱吉、寒くない?寒いんだったら、僕のポケットに入れてあげるよ。」


「・・!ほっ・・本当ですかッ!?じゃ・・じゃあお言葉に甘えて・・。」


嬉しそうに僕の右ポケットに左手を入れた。

僕は自分のポケットに右手を入れて、綱吉の小さな手をギュッと握った。


綱吉はそれに反応して肩をビクッとあげて顔を赤く染める。


あぁ、本当にかわいいな。


「本当に、冬が寒くて本当によかった・・・。」

「・・・えッ?何でですか?」

疑問そうに聞いてくる綱吉。理由はもちろん、


「・・言わない。」


その返答でブーブー言う君。



言えるワケないでしょ?

だって、こうやって君の冷えた左手を僕の右ポケットにお招きする為の口実が出来るから、なんて。






冬なのに君といるだけで暖かい気持ちになる。




「・・雪が降ればいいですよね!・・でも、思い通りにはなりませんよねぇ・・。」


赤面である事を必死に隠そうとしているのか、焦りながらそう言った。


「どうして?」

「だって、雪が降ったほうが雲雀さんと二人っきりってカンジが出るじゃないですか?」



ニコッと花のように笑う君。

・・!!この子は、どうして無自覚にそんな事言うのかな。


前までは冬は寒い季節のはずだったのに、今の僕にとっては暖かい季節に変わってしまった。


この子のせいでね。





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