Descoledream
2
「リカ、居るか?」
ある日、デスコールがノックも無しに私の部屋に入って来た。
私は笑顔で近くに置いてあった林檎を投げつけてあげました。
それを軽々避けるデスコールに一瞬だけ殺意を覚えたのは秘密です。
「人に物を投げるな」
「勝手に入って来ないでよッ!」
「先日、勝手に入ってきた人は誰だ」
デスコールは呆れた様に言い、林檎を拾い近くにあったチェストに置いた。
何も言えなくなった私を再び見て言った。
「服を買いに行くぞ」
「…は?」
今、私は車の後部席座席におります。
結局、あの後何故いきなりと問いたら、いつまでそれを着るんだと言われた。
それと言うのは、今着ている制服の事でこの世界に来てからずっと着ている。
さすがに、ワイシャツや下着は洗って貰うけど夜出せば朝には返ってくる。
屋敷の使用人に感謝だ。
でも、不運にもワイシャツが乾かない時はデスコールのワイシャツを借りる時もあった、袖口のフリフリ付きで…。
何故センスの無い服ばかり持っているんだと言う事で喧嘩になったのもつい最近の出来事だ。
そんなこんなで、服を買いに行くのは正直有り難かった。
「ねェ、何処に行くの?」
「服屋だ」
いつもと違う格好で(相変わらず目は隠してますが)運転をしているデスコールは言った。
うん、服屋に行くのは知っています。
何処に買いに行くの?が聞きたいのだ。
「場所を言っても分からないだろう」
「分からないけどさァー」
そうこう言ってる内に目的地に着いたようで、私達は車から降りた。
あ、言い忘れてたけど馬車は却下させてもらいました。
この時代に馬車はないでしょと言ったら渋々車を出してくれました。
車持ってるのに何故馬車に乗るの?と聞いたら、
「…嗜みだ」
と返ってきました。
意味が分かりません。
全てを趣味で片付けるなと思いました。
とにかく、車から降りるとかの有名なビックベンが目に入ったので此処はロンドンの何処かという事だけは解った。
こうして見ると本当にイギリスにいるのだなと改めて再実感しました。
「…初めてロンドンに来た」
「おい、リカ置いて行くぞ」
時計台に目を取られてたら、いつの間にかデスコールは先に行っていた。
「ちょ、待ってよ」
デスコールを追いかけ、本格的に私のロンドンライフが始まった。
「ねェ、デスコール。このスカート欲しい」
「却下だ」
「なんでさァー」
「丈が短すぎる」
「……」
この時アルバイトしようと心に決めた。
END
20101022
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