漆黒の真実
2
ガタンッと僕らが立ち上がり、部屋に緊張が走る。
「…座ってくれ、話をしに来たんだろ?」
8人掛けの長方形のテーブルの最奥にクロウが座る。ろうそくの光に漆黒のハーフマスクが反射し、揺らめいた。
「…単刀直入に言います。黒の教団に入ってください」
「やだ」
「やだじゃねぇだろうがっ!」
どーどーとラビが神田を鎮める。リナリーが困ったように額に手を当て、クロウを見据えた。
「今まで以上に人が救えるの。家族とは、離れてしまうけれど、みんないい人ばかりよ」
「俺が守りたいのは世界じゃない。お嬢さんのように、俺はこの町を守りたい」
「それは、俺たちの仕事だぞ」
はぁ、と刑事がため息を吐いた。そのとき扉が開き、美味しそうな料理の匂いが部屋を立ち込めた。
「とりあえず、俺のご馳走だ。…シュウ、ありがとう」
白いロングドレスを着た女性は、料理を乗せたワゴンを持って入ってきた。彼女の素顔はハーフマスクで隠されて、口元しかわからないが、店内のピアノで演奏していたはずだ。
「す、…ストラーイクッ!」
「ちょっと!ラビっ!」
「はははっ!嬢ちゃんはどこいってもモテモテだなっ!」
「……おいしいです!」
当然だろ、と得意気にクロウが微笑んで、ワインを飲んだ。
「…なぁ、クロウ。この町は俺たちに任せてくれないか。お前の力は世界のために使うべきだ」
「…エクソシスト、黒の教団、か」
ふっとクロウは笑うと、シュウという女性も笑った。
「クロウ様、いざという時はお盗みにあがりますわ」
周りの視線が集まる中で、シュウという女性は微笑んでいだ。
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