漆黒の真実

ガタンッと僕らが立ち上がり、部屋に緊張が走る。

「…座ってくれ、話をしに来たんだろ?」

8人掛けの長方形のテーブルの最奥にクロウが座る。ろうそくの光に漆黒のハーフマスクが反射し、揺らめいた。

「…単刀直入に言います。黒の教団に入ってください」

「やだ」

「やだじゃねぇだろうがっ!」

どーどーとラビが神田を鎮める。リナリーが困ったように額に手を当て、クロウを見据えた。

「今まで以上に人が救えるの。家族とは、離れてしまうけれど、みんないい人ばかりよ」

「俺が守りたいのは世界じゃない。お嬢さんのように、俺はこの町を守りたい」

「それは、俺たちの仕事だぞ」

はぁ、と刑事がため息を吐いた。そのとき扉が開き、美味しそうな料理の匂いが部屋を立ち込めた。

「とりあえず、俺のご馳走だ。…シュウ、ありがとう」

白いロングドレスを着た女性は、料理を乗せたワゴンを持って入ってきた。彼女の素顔はハーフマスクで隠されて、口元しかわからないが、店内のピアノで演奏していたはずだ。

「す、…ストラーイクッ!」

「ちょっと!ラビっ!」

「はははっ!嬢ちゃんはどこいってもモテモテだなっ!」

「……おいしいです!」

当然だろ、と得意気にクロウが微笑んで、ワインを飲んだ。

「…なぁ、クロウ。この町は俺たちに任せてくれないか。お前の力は世界のために使うべきだ」

「…エクソシスト、黒の教団、か」

ふっとクロウは笑うと、シュウという女性も笑った。

「クロウ様、いざという時はお盗みにあがりますわ」

周りの視線が集まる中で、シュウという女性は微笑んでいだ。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!