漆黒の真実
はじめまして
夜が深くなった時に僕たちは、刑事の言っていたパブに向かった。刑事に頼まれた僕たちは、変装をしてクロウとの接触を試みることにした。
「…少し、気味が悪いわね」
パブに向かう途中、リナリーが腕を擦って言った。あの夜のように濃く淀んだ霧があたりを包み込み、静けさがいっそうと強調されたように感じる。
「…着いたぞ」
よく使い込まれ古びた木製の扉を開けた。地下に続く階段がすぐに広がり、ぽっかりと闇が口を開いて待ち構えていた。明かりはろうそくだけで、ランプの中で揺らめいているような、頼りないものだけだった。
時間感覚を失うような長い階段を下る。4人分の靴音が響く。やがて、"welcome"と書かれたプレートが掛かった扉に行き着いた。
──…
店はパブというよりバーに雰囲気が近く、小ぶりなステージにはグランドピアノが置かれ、そこではBGMとしてジャズの演奏がされていた。
「悪いな、こんなことまでさせちまってよ」
いつもよりラフな格好した刑事が現れ、席に案内してくれた。
「…ここは、」
「クロウが運営している店だ」
机に4人分のつまみが置かれ、顔をあげると神田のように長い黒髪をした好青年がいた。
「…おやっさん、友達?」
「あぁ。…いつかお前の友達になるかもな」
「何飲む?…未成年もいるみたいだが」
「適当に作ってやってくれ」
「了解、あんたら目立つからこっちに来てくれ」
彼は微笑んで、カウンターの横に入っていった。これが僕たちのクロウとの最初の出会いだった。
──…
案内された所は個室になっており、雰囲気のあるろうそくが部屋を囲むように照らしていた。
「…いらっしゃいませ、エクソシスト様」
部屋の奥の扉からカラスが現れた。
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