漆黒の真実


「…もう一度言ってみろ」

「わぁーっ!ユウ落ち着くさっ!ストップ、ストップ!」

「…外へ、行ってくれ」

長年クロウを追い続けた刑事が、何か苦しい様子で言った。

「事情を説明してくれないと納得できません。いきなり僕たちが外だなんて、」

「…これはお願いじゃねぇ、命令だ。上からの、な。俺も俺の部下も数人、捜査から外された」

刑事はきまりが悪そうに、白髪混じりの頭を掻いた。話によると、警察の上層部と貴族などの富裕層からの圧力らしい。クロウが僕ら、エクソシストの存在を知っていることで、さらに向こうの不信感を煽ったみたいだ。

「…悪いな、手伝ってもらってるってのに」

チッと後ろで神田が舌打ちをした。ラビもなにやら考え込んでいる様子でリナリーもどこか、納得している様子ではない。…何かがおかしいのだ。

「…気に食わねぇ。全部お見通しってわけか」

「…クロウは何者なんさ。俺らのことを知ってやったみたいさ」

「…アイツは、情報屋だ」

どことなく真剣な顔で刑事は言った。事態がさらに深刻したかのように思える。

「…納得したさ」

額に手を当て暗い顔した。ラビの口が無理に笑った。白いもやがいっそう強くなったような気がする。

「ラビ、」

静寂を切り裂くような断末魔が響き、左目が激しく反応した。建物の周りにアクマが集まってきたのだ。

たが、一瞬にして黒い霧が広がったと思うと、アクマは破壊された。

「な、」

「アイツだ」

建物の屋根を破壊して、黒い影が飛び出た。気付けば、あたりの白いもやと黒い霧が消え、黒い影は、街の中心にある教会の屋根にとまった。


丸い丸い月が、カラスの姿を捉えていた。

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