漆黒の真実
2
「…もう一度言ってみろ」
「わぁーっ!ユウ落ち着くさっ!ストップ、ストップ!」
「…外へ、行ってくれ」
長年クロウを追い続けた刑事が、何か苦しい様子で言った。
「事情を説明してくれないと納得できません。いきなり僕たちが外だなんて、」
「…これはお願いじゃねぇ、命令だ。上からの、な。俺も俺の部下も数人、捜査から外された」
刑事はきまりが悪そうに、白髪混じりの頭を掻いた。話によると、警察の上層部と貴族などの富裕層からの圧力らしい。クロウが僕ら、エクソシストの存在を知っていることで、さらに向こうの不信感を煽ったみたいだ。
「…悪いな、手伝ってもらってるってのに」
チッと後ろで神田が舌打ちをした。ラビもなにやら考え込んでいる様子でリナリーもどこか、納得している様子ではない。…何かがおかしいのだ。
「…気に食わねぇ。全部お見通しってわけか」
「…クロウは何者なんさ。俺らのことを知ってやったみたいさ」
「…アイツは、情報屋だ」
どことなく真剣な顔で刑事は言った。事態がさらに深刻したかのように思える。
「…納得したさ」
額に手を当て暗い顔した。ラビの口が無理に笑った。白いもやがいっそう強くなったような気がする。
「ラビ、」
静寂を切り裂くような断末魔が響き、左目が激しく反応した。建物の周りにアクマが集まってきたのだ。
たが、一瞬にして黒い霧が広がったと思うと、アクマは破壊された。
「な、」
「アイツだ」
建物の屋根を破壊して、黒い影が飛び出た。気付けば、あたりの白いもやと黒い霧が消え、黒い影は、街の中心にある教会の屋根にとまった。
丸い丸い月が、カラスの姿を捉えていた。
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