漆黒の真実
はじまり
カラスと呼ばれる男がいた。
頭部を覆う鋼鉄のカラスのハーフマスクと漆黒のマントを身に付けている。
名はクロウ
ターゲットに予告カードを送り付け、月夜に秘密を盗み去るという。
クロウが出た晩は黒い霧と白いもやが街を包み、響くブーツの音に紛れて、捕まることなく消える。
そして必ずどこかに、血塗られた壁や道路と機械の残骸が残される。
「…というわけなんだけどさぁ〜僕らの仲間である可能性が高いんだよね〜。じゃ、頑張って」
軽いノリで僕らはコムイさんに送られた。
これが始まりだった。
いや、もしかしたらもっと前から始まっていたのかもしれない。
──… ベルタウン
名の通りベルの製造を中心に栄えた街だ。僕たちはまず、街をくまなく歩くことにした。中心から一歩裏へ入ると、閑散とした薄汚れた路地が続き、子供たちの遊ぶ姿が見えない。
パン屋に聞くと、この街にはマフィアが交流することが多いらしく、人さらいも少なくはないらしい。だが、決まって2、3日には帰ってくるようで、こぞってこう言うのだ。
『カラスに会ったよっ!!』
と。どういう意図かわからないが、クロウは、何かの理由があって人さらいから子供たちを助け出している。
「ますます、不思議ですね。このカラスっていう人」
「子供を連れて帰れるくらいだから、男の人かもしれないわね」
この街に潜入して5日が経った。僕、リナリー、ラビ、神田は警察に協力を依頼され、クロウのことも合わせて調査を続けていた。
──… 今日は朝から妙な静寂が街を包んでいた。そして宿泊している宿に、警察から連絡が入った。
「…クロウから、予告状が来たさ」
妙に浮かない顔のラビに、部屋に不穏な空気が漂う。
「さっさと続けろ」
「…うちらのことがカラスに知られてたさ」
「…とりあえず行きましょう」
僕らは予告状が出された屋敷へ警察と向かった。警察は僕らのことを怪しんで、何も話そうとはしなかった、しかしある刑事だけは、そう、長年カラスを追い続けた彼だけは違った。
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