版権-中編
『Good morning,Baby!』
カーテンの隙間から差し込む朝日ほど、眩しいものはない、と思う

『Good morning,Baby!』

鳥の声が騒がしく、耳に付いた。目覚まし時計がけたたましく鳴り、頭から布団を引っ張り上げて被るが、覚醒していく意識に仕方なく瞼を開くと、音が鳴り止んだ。

「おはよう、よく眠れたかい?」

カーテンから差し込む光に、金髪がキラキラ輝く。そこには、爽やかに微笑む牙琉検事がいた。

「おはようございます」

少し凝った体を、動かして気付く。昨夜のことが頭の中で再生され、頬が熱くなった。

(うわ、恥ずかしいっ)

体の向きを変えて、布団を頭から被った。

「おデコくん?…おデコくーん、オーイ」

ふーん、とくぐもった牙琉検事の楽しそうな声がした。すると、俺を抱き締めるように体の下と布団の上に腕が回り、冷気が通り抜けていき、優しく包み込まれる。

「法介、思い出しちゃった?」

ぶわぁっと頬が燃えるように熱くなり、布団を剥がそうとする力に必死で抵抗した。悲しいかな、力の差であっさりと引き剥がされ、組み敷かれてしまった。最後の抵抗で、俺は腕で顔を覆い隠した。

「…み、見ないでください」

「…夢の中の君は、愛してって言ってたよ?」

(…夢だと思ってるよ、この人)

髪を優しく撫でる手に、ゆっくりと俺は腕を下ろして、口元を隠した。視線を合わせないように彼の顔を確認してみる。

(なんでそんな幸せな顔してるんだよ)

「ね、朝ごはん何がいい?」

「和食にします、響也さん」

視線を合わせないように腕を伸ばして、髪に触れる。朝はいつも俺が作るのに、なんて言おうと思ったけど止めた。

だってあまりにも、彼が綺麗に笑ったから。



!OMAKE!

「毎朝僕のために味噌汁作ってよ、法介」

「俺に弁護士辞めろって言ってるんですか」

うーん、と彼は悩みながら、卵焼きを口にした。彼が好きな少し甘めの卵焼きだ。

「検事辞めて、こっちに就職するならまた別ですけどね」

マグカップに入った温かいお茶を飲んで、食器を片付けて台所まで持っていく。

「何か、あったかい?」

「そっくりそのままお返ししますよ、牙琉検事。…昨夜何があったんですか?」

うぅ、と彼は最後の卵焼きを口に入れて、食器を片付けて持ってくる。

「…おデコくんにフラれる夢を見たんだよ」

カチャカチャと2人並んで、流れ作業で食器を洗う。食器をタオルで拭き、最後の皿を棚に戻す。

「…安心してください。法介は、しませんから」

背中越しで言うと、後ろから抱き締められた。

「味噌汁は?」

「卵焼きのほうが好きなんですよね?」

見上げて言うと、牙琉検事は額を合わせてくる。そのまま微笑み合って、ゆっくりと唇を合わせた。

ほんのりと卵焼きの甘い味がした。

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あきゅろす。
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