版権-中編
『夢の秘め事』
こっそり貴方に伝えます。
『夢の秘め事』
隣で何か大声を上げて、牙琉検事は跳ね起きた。なんとか瞼を開くと、月明かりを受けて彼の髪が輝いた。
彼が髪を掻き上げると、額から妙な汗が出ているのに気付いた。彼は苦笑すると、深いため息をしてベッドに倒れ込む。俺はダルい体を動かし、口を開くが声にはならず、カーテンの閉まる音だけが部屋に響いた。
（…どうした、んだ？）
もう少し口を動かし、名前を呼んだ。
「…がりゅう、けんじ、？」
少し鈍い感覚の腕を伸ばし、何かを握る。彼は柔らかく微笑んで、俺の額にキスをすると、頬を触った。心地好い感覚に瞼が重くなる。
（…何か、言って、る？）
「…名前で呼んで、法介」
優しく頬を撫でる感覚になんとか頷いたが、光が薄れて闇に包まれた。ダルい腕を伸ばし、落ちないように服を掴む。しばらくして俺は、押し寄せる温もりに身を任せることにした。
「大好き、だよ」
頬に熱が集まり、意識がはっきりした。髪を撫でる手が止まり、滑り落ちる。握りしめる手を強くして、あどけない寝顔を浮かべる顔を見上げた。彼の匂いが優しく俺を優しく包み込む。
「馬鹿言ってないで、早く愛してください」
彼の胸に額を押し付けて、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
［*前へ］［次へ#］
[戻る]
[小説ﾅﾋﾞ|小説大賞]
無料HPエムペ！
