版権-中編
『ひかりかがやいて…』

私と君の間に言葉はいらない。
本気で終わらせる気ならば、彼は電話をするはずがない。
そして、彼は自分の誇りを代償に私たちを守った。彼はきっと私の言葉を信じ抜くだろう。

どんな結果になったとしても。

けれど私は、彼のために、私のしたいがために、彼を愛し続けた。

どんな結果になろうとも。

そしてこれからも私は、彼を愛し続ける。

──… 成歩堂は未だ泣き止まず、私の右側で服を握っている。

「御剣、」

ポロポロと涙がこぼれる。彼の左手はまだ服を離さず、料理が少しずつ冷めていく。
私は右手の親指で、涙を優しく拭うと彼の右手で挟まれ見つめられる。

「僕も、君が好きだ」

彼は、切ないような幸せそうな、そんな微笑みを浮かべた。

「愛してる、じゃないけど。…君に愛されたい」

頬を触れる手を引き寄せ、優しく口付けをし、ゆっくりと離れた。

「…昔、君に渡そうと思ったものだ」

テーブルには、深い青の箱が開いたままで置いてあり、その台座にはシルバーリングが光輝いていた。成歩堂の指にそっと入れると、抱き締められた。

「成歩堂、」

「ありがとう。信じてくれて、わかってくれて、愛してくれて、ありがとう」


『ひかりかがやいて…』


彼の目からこぼれ落ちた水滴が、左手薬指のリングに弾けて消えた。

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