版権-短編
いつまでも初恋(鳴門/シカイノ)
そういえば、といのは考え込むように手を顎に当てた。
──…最近、会ってないな
自分よりランクが上の面倒くさがり屋で生意気なのにズルくてカッコいい彼氏は任務で多忙を極めている。
毎晩電話をするが、たわいもない話で、幼なじみの頃となんら変わりないと感じる。
「私の一世一代の告白って、何? みたいな顔してんじゃねぇ、めんどくせぇ」
「ちょっと!勝手に人の心読まないでよっ!」
「考え事は口に出して言うもんじゃねぇよ」
「……え、じゃべってた?」
「…そりゃあ、もう盛大に」
恥ずかしーっと思うと頬が暑いと感じるぐらい火照た。
「真っ赤」
ぷっと吹き出してあいつは笑った。
「うっさい。だいたいアンタなんでこんなとこ居るのよっ!」
「……メール、見てねぇのかよ」
はぁ、と呆れたようなため息がこぼれた。
「え、うそ!わ、シカマルごめんっ」
「まぁ、別にたいしたことじゃねぇから」
あまりにも情けなくて、喉の奥が唸った。
そして、不器用に優しく抱き締められた。
いつまでも初恋
(久しぶりの彼の匂いに、寂しかったと自覚した)
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