逆転(BL)
嘘吐き日和(ミツナル前提ミツ+メイ)
あの人が法廷から消えて何年経っただろうか。メイにパスポートを奪われ、仕事という長期海外出張が終わるまで帰さない、と言われた時は死のうかと思った。
…遺体になってあの人に会いにいけるではないか。
……冗談だ。
電話で連絡を取るが、あの人は光を失ったかのように作られた元気を私に振る舞う。…踏み込むな、という遠回しの拒絶を伴って。
「…………」
「相変わらずね、御剣怜侍」
振り向くと水色の髪をした女性が自前の鞭を持って立っていた。
「私のことはちっとも見てくれない」
「?…見ているではないか」
「バカのためにバカバカしい話をわざわざバカのように話す気はないわ」
それより、と彼女は次の資料を渡してきた。良い、とは言えない表情を隠せずに。目を通すと書かれていたのは、心臓を止まらせる程の内容だった。
「なっなんだとぉぉおお!?」
「この資料で人が殺せたら、私は間違いなく有罪ね」
「ど、どういうことだっ!!い、いったい」
ふっと彼女は微笑み、机のカレンダーに指を差し、その後時計に向けた。
「騙されたわね、御剣怜侍っ!!」
「…エイプリルフール」
イタズラが成功したかのような笑みを浮かべ、彼女は鞭をしならせた。
「さぁっ次は貴方の番よっ!!」
「残念だったな、メイ」
「な、何よ」
「この時計は時間がずれているのだ、一時間ほどな」
※現在の時刻は11時30分。エイプリルフールは正午までという説があります
「そ、そんなハズは…!」
「…嘘だ」
体に強烈な痛みが走った。…どうやら、メイの鞭に打たれたらしい。
「ひ、卑怯よっ!!」
「メイ、君がやれ、と言ったのだが、」
また、鞭が飛んできた。これ以上何か言うのは、少々身の危険を感じる。…黙っておこう。
それでも今日の空は、悲しいほどに青い。
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