逆転(BL)
Tell me the naked truth.(ミツナル)
「嘘だと、言ってくれ」
懇願するように服を握りしめて、成歩堂は項垂れる。悲痛な声が御剣の胸を軋ませた。
「嘘では、ない。3年間の長期海外出張に、行くことになった」
スーツを掴む力が強くなった。成歩堂は現実を受け入れたくない、というように首を横に振る。
「成歩堂、」
握りしめる手を優しくほどき、そっと成歩堂を抱き締めた。
「帰ってこれなくとも、連絡は取ろう。出来るだけ、会えるようにする」
成歩堂は甘えるように御剣を抱き締めた。
…その優しさが辛いんだ。僕を溶けるまで甘やかして、君無しでは生きられなくなる。
「……ゃだ」
「成歩堂?」
「嫌だ。御剣がいないのは、嫌だ」
胸が苦しくなるくらいにキツく抱き締められ、狂おしいくらいに名前を呼ばれ続けた。
…やめろ、そんな苦しそうに名前を呼ぶな。そんな切ないくらいの手つきで、僕を触るな。
涙が、止まらなくなる。
「好きだ、好きだよ、御剣っ」
「成歩堂っ」
いつも冷たい両手が熱く僕の頬を挟み、御剣から深い深い口付けが与えられる。
…今は痛いくらいの抱擁が嬉しい。好きだ、という気持ちが溢れて止まらない。
「…御剣」
「名前で、呼んでくれ、龍一」
両目から溢れる涙が、熱く頬を流れる。御剣の目はかすかに赤く、今にも涙を流しそうだった。
「怜侍」
「…愛してる」
熱く焦がれるような視線、自然と頬が熱くなった。額にキスが落とされた。成歩堂は御剣の服を軽く引っ張った。
「どうした?」
僕はそっと御剣の背中に腕を回した。
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