dust
好きな人の行動は知りたいものです(BSR/小政/ギャグ落ち)
最近政宗様の様子がおかしい。いつものようにどこかへ抜け出すのだが、すぐに戻られるのだ。
どこかへ行かられては困るところにいらしていないのか心配なので、忍を使いに出すが、相変わらずの調子だ。おそらく、気付いておられるのだろう。
ついさきほど戻られたが、いつもと様子は変わらない。
が、
服の裾に短い白い毛が付いている。
(……なんだ?動物の毛か?しかし、いったいどこで)
最近はこっそり、夜中床を抜けられるようになった。
「……確かめるか」
「Ah?どうした、小十郎」
「いえ、少々気になることがございましたので、政宗様が気にすることでございませぬ。小十郎の些細な疑問でございますから」
「Hum、何かあったら言えよ」
「承知」
── そして夜
こっそりと抜け出す主の後ろを追いかける。
にゃう、と音がした。
「にゃう?」
「おぉ、よしよし、もうちょい我慢しろよ、な?」
そんな主の声がした。物陰からこっそり様子を伺うと、数匹の猫とじゃれていた。
「…ほら、ゆっくり食え」
焼いた魚の切り身だろうか、すりつぶされたものが懐から懐紙に包まれて出てきた。それを地面に置くと、猫が勢いよく食い付いた。
食べ終わるとまた、ねだるように主の足元にすりよる。
「…仕方ねぇな」
そういってまた、懐から水筒を取り出した。中には温められた葛湯が入っており、こっそり持ってきたであろう器に白く濁りながら、たまる。
「…小十郎、許可してくれるといいのにな」
頭を優しく撫でなさると、みゃあ?と猫が鳴いた。
(……気付いておられるのか)
はぁ、と息が吐き出される。もう、隠れる気はない。
「…政宗様」
「うぉおっ!こ、小十郎!?」
「気付いていらっしゃなかったのですか。……お身体に障りますので、これを」
「…Thanks」
「可愛らしい猫でございますな。最近は小十郎を放って置いて何処かいかれているのか、と思いましたが、猫でございましたか」
「…妬いてんのか?らしくねぇな」
「……」
襟をぐっと引き寄せられ、鼓膜が揺れた。
「飼っていいか?」
「駄目です」
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