小説
一周年記念御礼SS 1
サイト一周年記念
小さな足音&LittleFairy御礼SS1
「咲良、パパにチューは?」
咲良を抱っこしたややスキンシップ過多な洸輔はムニムニな咲良のほっぺにスリスリほお擦りし咲良にチューを願った。
小川家では家族が(…と云えども主に洸輔が…)日常茶飯事にチュッチュチュッチュと頬や口にチューをする。
特に咲良にはこれでもかと云わんばかりにチュッチュと遠慮もなく口づける。
咲良も嫌がる事なく受け入れるものだから人前であろうがなかろうがお構いない。
しかし、この日の咲良はちょっと様子が違った。
洸輔のキス攻撃(?)に対して普段なら嬉しそうに、「パパ、チュー」と云いつつ洸輔にチューをするのだが、今は小さな両手を唇に当て、「さくら、パパとちゅうは、め、なの…」と、首を横に振ったのだ。
「さ、咲良!!どうしてパパにチューしてくれないんだ!!」
咲良の言動に慌てた洸輔はスリスリしていた頬を離し咲良を見る。
咲良はもう一度首を横に振ると、口に手をあてたまま、
「さくらのちゅうはやっくんだけなの…。やっくんとじゃないとしちゃ、めっなの。けんちゃんが…いーおとこになるのに、ちゅうはいちばんスキな人とするんだって…」
少し寂しそうにそう云う咲良に洸輔の顔が青ざめた。
「さ…咲良……一番好きなのは大和でパパじゃないんだ…」
そこかよ!!!…と、話しを聞いていた知春が心の中でツッコミを入れると、呆然とする洸輔を置いてこのような経緯に至った経緯を思い出した。
◇◇◇◇◇◇
「ええか、咲良、大和。よー聞くんやで。いー男になるんにはまず、ちゅーはいっちゃん好きな子とするんがセオリーや。せやから好きな子が居る時にはその子以外とはちゅーしたあかんで。」
小川家リビングのラグの上で真剣な眼差しで三角座りをしている咲良と大和の目の前で賢吾が偉そうに腕を組み熱く語っている。
知春と恵斗は横のソファーに座り、幼児に何を云ってんだか…と思いつつそんな三人を眺めていた。
「そうか……じゃあおれは咲良がいちばん好きだから咲良としかちゅーしない!!!」
大和が真剣な眼差しで咲良を見ると咲良も理解しているのかは分からないが嬉しそうに大和に向かい、
「さくらも!!さくらもやっくんだいスキ!!やっくんとちゅうする!!!」
「よし!!いいか咲良。これからはおれとしかちゅーしちゃダメだかんな!!!約束だ!!」
「うん!!さくらやっくんとしかちゅうしないよ!!!」
二人は真剣に約束を交わしていた。
「じゃあけん兄、ちゅーしてると好きなコってことだよな?」
「せやせや、好きな子以外とチューするんは邪道や!!」
うんうん、と賢吾は得意げに頷く。
そこで、「あっ…」と何かに気付いた様子の咲良が少し寂しそうな顔になるとおずおずと賢吾に尋ねた。
「けんちゃん……パパとちゅうもダメなの?」
「せやなぁ、大和がええよって云うんやったらパパとママやったらええで。」
賢吾の答えに咲良はおずおずと大和を上目で見つめた。
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