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小説
LittleFairy8 小さな足音番外編







LittleFairy8 小さな足音番外編





両性の中でも三つのタイプがあり生まれてから数年経つと医師より診断がつけられる。

まずはMaletype。

外見は男性寄りで両方の性を持つが女性機能がないタイプ(Mtype)

Femaletypeは外見は女性寄りで両方の性を持つが男性機能がないタイプ。(Ftype)

そしてDoubletypeは外見はどちらとも取れる。両方の性を持ち両方の機能が働くタイプ。(Dtype)

この三つに分類される。

MtypeとFtypeは近年発表されたばかりの医学論文に、

『稀に機能していないハズの性機能がパートナーとの性行為によって機能してしまう事がある。』


という証明が成されたばかりだった。



春日部は恵斗に説明すると

「田辺さん。納得され理解するのは大変かと思いますが、出来るだけ早くパートナーの方と受診される事をお勧めします。」

恵斗は戸惑いを隠せず呆然とし返事をする事が出来なかった。

春日部は痛ましい表情をするも毅然と説明を続けた。

「突然の妊娠に貴方も、ましてパートナーの方にも戸惑いがある事かと思いますが、どちらの選択を選ぶにもパートナーの方の承諾が必要になります。出来るだけお二人で受診して下さい。」

その言葉に恵斗はピクッと反応した。

「どちらの選択って……先生…俺だけ……ううん、今から俺だけで受診出来ますか!!」

恵斗は顔を上げると春日部に詰め寄った。

「ええ、出来ますが先程云ったようにパートナーの方と、「いえ!!先に知っときたいんです!!さと…恋人には落ち着いて説明したい…から…お願いします。」

春日部の言葉を遮り恵斗は必死に言い募った。

「分かりました。ではカルテを回しておきます。詳しくは産科医に聞いて下さい。」

「あ、ありがとうございます。先生…」

安堵の息をついた恵斗は椅子に座り込み力を抜いた。

春日部はそんな恵斗の様子に堪らず口を開いた。

「田辺さん、貴方はまだ学生さんです。余り思い詰めて考えないで下さい。親御さんやパートナーの方とちゃんと話をして判断して下さいね。」

春日部の言葉に恵斗は一瞬辛そうな顔をしたがすぐに笑みを浮かべた。

「あはは、先生優しい。ありがとうございます。俺自分が理解しないと他に説明出来ないんですよ。だからちゃんと理解して、親…と恋人に話します。」

ニッコリ笑う恵斗に春日部は一抹の不安を覚えたが、感じの良い恵斗に、親とパートナーにちゃんと話しをする、と云う事を信じる事にした。



その後恵斗は産婦人科を受診し検査の結果、間違いなく妊娠していることが判明。

妊娠3ヶ月だった。





恵斗はフッと意識が戻ると自宅に居た。

何処をどうして帰ったのか記憶がない…。

「またこのパターンか、俺無意識で帰って来れるってどんだけ凄いんだか…」

明かりも付けずに座り込んでいた様で部屋は真っ暗だった。

恐る恐る恵斗はお腹に手を当てた。

「妊娠って…俺Mtypeなのに…どうすんだよ…云える訳…ないよ…聡志との子供……望まれてないよな……」

恵斗は誰に聞かれる事もないのに声を潜めて呟いた。





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あきゅろす。
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