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小説
LittleFairy7 小さな足音番外編







LittleFairy7 小さな足音番外編





恵斗は医師の指示に従い検査を黙々と受けた。

そして結果が出るのに時間が掛かっているのか結構長い間待たされた。

「まだかなぁ…」

恵斗は待合室の隅でぼーっとした時間を過ごした。



「田辺さん、申し訳ございません。大変お待たせしました。第三診察室へどうぞ。」

少しウトウトしていた恵斗は看護師に呼ばれ目を覚ました。

診察室に入ると、春日部は申し訳なさそうな表情をしていた。

「田辺さん、長いことお待たせしてしまって申し訳ございません。検査の結果から他科の医師の見解をもらっていたもので。」

「他科…ですか?」

恵斗は春日部の言葉に不安になった。

少し胃腸が弱っているだけだろうと思い胃腸科を受診したのだが何か違う病気でも見つかったのだろうか?

不安な表情になった恵斗に春日部は慌てて謝った。

「田辺さん、すみません!!違いますよ、ああほんとすみません。私の言い方が悪かったんです、ほんと私説明下手で…」

焦った春日部が謝る横で看護師が呆れた顔をして春日部に先を促した。

「春日部先生!!患者さんを不安にさせてどうするんですか!!ちゃんと説明して下さい!!」

テキパキと検査結果の書かれているだろう用紙を春日部に渡しながら看護師は恵斗に向かって微笑み「申し訳ございません。」と頭を下げた。

そのやり取りに力が抜けた恵斗は、小さく笑ってしまい春日部に向き直った。

「先生、説明お願いします。」

春日部は咳ばらいをすると恵斗にもう一度謝罪し説明を始めた。


「田辺さん。まず検査結果に異常はありませんでした。ただ胃が少し荒れていますね。全体にお疲れの様子ですので心身共にストレスを出来るだけ掛けないように気をつけて下さい。…それから……」

いったん説明する口を閉じた春日部はカルテを手に取り目を通すと恵斗に視線を戻し口を開いた。

「田辺さん、カルテには両性Mtypeとなっていますが、Dtypeではないのですね?」

「はい、Mtypeですがそれが何か…」

恵斗は不思議そうに首を捻った。

「そうですか。…Mtypeの貴方からすれば信じられない話かと思いますがよくお聞き下さい。
田辺さん、貴方から妊娠の兆候がみられます。」


「…………えっ?」

恵斗は春日部から発せられた言葉を一瞬理解出来なかった。

「えっ、ええっ!!!ちょっ、先生!!!待って下さい!!!!俺Mtypeですよ!!!!そんなハズないですよ!!!!」

必死に言い募る恵斗は椅子から立ち上がって春日部に詰め寄った。

「たっ、田辺さん、落ち着いて下さい!!」

春日部の声にハッと気が付いた恵斗はドサッと椅子に座り謝罪した。

「すみません、先生。でも先生が悪いんですよ。笑えない冗談なんか云うから…」

「いえ、田辺さん。冗談ではありません。産婦人科の医師にも確認を取りました。本来なら産科を受診して頂き産科医から説明させて頂くのですが、田辺さんの場合いきなり産婦人科を受診して下さいと云われても混乱されるでしょうから私の方から説明をするという形を取らせて頂きました。」

恵斗は春日部から云われた言葉を今だに信じる事が出来ないでいた。




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あきゅろす。
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