小説
LittleFairy3 小さな足音番外編
LittleFairy3 小さな足音番外編
翌日、学生の本分は勉強だ!!と豪語する恵斗はサボる訳もなく痛む身体と心に蓋をして大学へ通学した。
「おはよ恵斗、今日一限休講やて。」
掲示板を見ようと足を向けた矢先、一緒のクラスの佐々木賢吾(ささきけんご)に声を掛けられた。
「げっ、恵斗。おま何ちゅー顔色しとんねん。青いの通り越してめっちゃ白なってんぞ!!」
関西出身の賢吾は恵斗の顔を見るなりまくし立てた。
「はよ帰って横になってた方がええんとちゃうか?チカちゃんもそう思うやろ?」
賢吾は隣に居るもう一人のクラスメイトの吉沢将親(よしざわまさちか)に意見を求めた。
「賢吾…頼むからその呼び名は止めてくれ…」
ハァ…と大きな溜息をついた将親に賢吾は不満顔で、「何でやの?チカちゃんはチカちゃんやんか」と言い返す。
将親は自分の肩までしかない賢吾の頭に手を乗せポンポンと叩いた。
「こんなデカイやつにチカちゃんはないだろう…」
頭をポンポンされたことに腹を立てた賢吾はムキーッと将親の手を払った。
「チカちゃんはチカちゃんでええねん!!っつーか今はチカちゃんはどうでもよくて、恵斗の顔色がおかしいて話の方が大事やろ!!」
「そうだな、恵斗どうした?大丈夫か?」
二人の掛け合いに恵斗はお腹を抱えて笑った。
普段と変わらない空気が嬉しかった…
そんな恵斗に賢吾は不思議そうに首を傾げた。
「恵斗?何がそんなにおもろいんや?ハッ!!恵斗何や変なモン拾い食いしておかしなったんか?!」
「賢吾じゃあるまいし恵斗が拾い食いするわけないだろ…」
ハァ…と溜息を付いた将親が賢吾を見下ろす。
「ムキーッ!!俺じゃあるまいしてどうゆうことやねん!!」
「そのままの意味だ。」
「賢吾は前科があるだろ…」
恵斗もうんうんと同意し笑う。
「恵斗まで何やねん!!人が心配したったのに!!」
賢吾は地団駄を踏み暴れ出した。
「ごめん賢吾。大丈夫だから、昨日DVD見てたら止められなくて寝てないだけだよ。」
これ以上は可哀相と思ったのか恵斗が顔色が悪い訳を話した。
「そうなんや、でもほんまに顔色悪いで。大丈夫なんか?」
心配した顔の賢吾が恵斗を覗き込む。
「恵斗…」
将親も眉をしかめ何か云いたそうな表情を浮かべる。
心配してくれる二人に恵斗はありがとう…と呟き、
「大丈夫だって!一限休講だろ。次は三限からだからその間休んどくから。」
顔の前で手を振り何でもない様に振る舞う。
実際は貧血でも起こしたのか足元が覚束ず立っているのもやっとだというのに…
「ほな食堂行こうや、朝食べられへんかったからめっちゃ腹減ってんねん!!」
賢吾の食欲はその小さな身体の何処にいくんだ!!…と云いたいくらい良く食べる。
そんな食欲魔人のご飯食べに行く!!という号令に逆らえるはずもなく…
三人は賢吾を先頭に食堂へ向かった。
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