a la carte 私と真田さん2 寝汗で気持ち悪いからって、何の気無しに上半身脱いで拭いていたのがいけなかった! 天然破廉恥野郎は、真っ赤になる私の胸中なんてお構いなしに鼻をこすりつけてくる。 「朝の挨拶に寄ってみれば、かような恰好をして…」 耳朶や肩を甘噛みする真田さん。 「さ、さなだ、さん…」 「んー…。某、暁どのには幸村、とで呼んでもらいたいでござる」 「! そ…それは…」 それはそれで困るよ! だってずっと『真田さん』って呼んできたんだもん。 そりゃあ、最初の頃は『様』とか『殿』とかって呼び慣れなくて、申し訳ないと思いつつもお言葉に甘えて『さん』呼ばわりしてたけど! それが今も続いているんだけど! お互い好き同士なのは分かっていても、だからってそうほいほい呼べないよー。 わたわたとしている私に気づいているくせに、真田さんは私の肩口でくすりと笑う。 「暁どの…耳が赤い……」 「!!!!!!!」 もーダメ!! 耐えられないよ! 今の現状に恥ずかしいやら困惑やら…色々もういっぱいいっぱいだけれども、思い切ってひとつ、行動を決意する。 腰に回されていた真田さんの手を取り、小さく数回深呼吸。 よし、ガンバレ私!! 私は真田さんの手を自分の胸に押し当てた。 「っっ! 暁どの!!!」 バッと、瞬時に真田さんが私から離れる。その目は動揺し、私の胸に触れた手は固く握り締められていた。 「…破廉恥っ、破廉恥でござるよ」 先程とは一転、真田さんは首まで真っ赤にして、よろめきながら部屋を出て行った。 「まったく…。こっちのほうがめちゃめちゃ恥ずかしいんだっつーの。……ばか」 自分からは平気なくせに、とごちる私だった。 「旦那のは無意識の本能だからな〜。意識するとてんで駄目なんだよね。…暁ちゃん、奥手なほうなのに…ごめんね」 天井裏では、羞恥に身を震わせる私を気の毒がる忍がいたとかいないとか。 つーか、見てたんなら止めろってーの…!(泣) [*前へ][次へ#] [戻る] |